CLAP THANKS
れんあいゆうぎ03
「おじゃますってばよー!」
ガチャリとドアノブに差し込んだ鍵を回して扉を開ければ、この家の主よりも先に足を踏み入れたナルト。ポイっと乱雑にサンダルを脱ぎ捨てドタドタと部屋へ上がり込む。
「………。」
そんなナルトに先が思いやられるな、とため息を吐きながら脱ぎ散らかされたサンダルを揃えて端に寄せ。「下に響くからドタドタしなーいの。」と部屋の奥にいるナルトに叫びながら自身も部屋へと向かった。
リビングに入ると他人の家が物珍しいのかナルトはキョロキョロと忙しなく顔を動かしていた。
「どうしたの?」
「カカシ先生んち広ぇー!」
「まぁ、オマエんちに比べればそれなりにはね。」
「イルカ先生んちよりも広ぇってばよ!このソファーとかフカフカで気持ちいいし!」
ピョンピョンとソファーの上で飛び跳ねるその姿に思わず笑みが零れる。微笑ましい光景を目の端に入れながらカカシは額宛てをほどき、ベストを脱ぎ捨て口布を外し終えたところで痛いほど突き刺さる視線に気づく。視線を送っている主に目をやれば、あれほどまでにはしゃいでいたのが嘘のように硬直している。
「…ナルト?」
声をかければハッと我に返ったナルトが声をあげる。
「せ、先生!顔!顔が出てるってばよ!」
あぁ、そういうこと。っていうか人のこと化け物みたいに。
「自分の家でくらい外してたっていいでしょ。(まぁ、ナルトが居ることがあまりにも自然すぎてうっかりはずしちゃったオレもどうかしてるけど)それに見たがってたじゃない、オマエ。」
そう言うと納得したように頷き、トコトコとカカシの側まで歩み寄るとクイッとズボンを引っ張りしゃがめと即す。ソレに素直に従えばナルトは両手を伸ばしカカシの頬にソッと触れた。予想外の展開に動揺しながらも、カカシは平然を装いながらどうしたの?と視線を送る。
「先生、カッコイイってば。」
「ははっ…、ありがとね。」
「見せないで。」
「え?」
「オレ以外に先生の素顔、見せないでってば。」
頬を赤らめうっとりとした表情で見つめながらそう懇願するナルト。いつものようなやかましい声でなく、色気を含んだ甘い声。見たこともないナルトの姿にカカシは思わずドキッとした。
サクラたちが読むような、所謂少女マンガなんかでいえばこのあと二人は恋に落ちたりなんかして。だけどコレは勝負だから。そんな甘い展開には発展しない。っていうかオレがナルトにおちるなんて絶対ありえない。…うん、ありえない。