2月14日、バレンタインデー。
全国のカップルたちがいつも以上に盛り上がるこの時期。
心なしか街並みもピンクムードだ。


「おはようございまーす……」

「あ、神谷さんっ」


いつものラジオ収録がある為前の仕事から移動してくれば、俺よりも早く着いていたであろう男に呼び止められる。


「……なに」

「はい、これ」


振り返るといつの間に移動したのか、俺の目の前にいた小野くんに何かを渡される。
有無を言わさず差し出してくるそれに俺は受け取る以外選択肢はなかった。


「なにこれ」

「見ればわかるでしょ? チョコですよ」


そう言えば、今日はバレンタインデーだった。
内心納得してカバンを置く為に椅子に手を掛ける。
そして貰ったチョコの箱を見つめた。

可愛らしくリボンが掛けられ、綺麗なラッピングが印象的なそれはいかにもバレンタインチョコだと言っているようで。
これを小野くんが……? あんまり考えたくない。


「食べないんですか?」

「ここで? 家帰ってからでも……」

「食べて下さい」


にこにこと笑顔を絶やさない顔に若干の恐怖を感じた。
仕方なく綺麗に整えられたリボンをほどき、蓋を開ける。
中にはやはり綺麗に型どられたチョコが数個入っており、その1つを掬った。


「……」

「どうです?」


口に含めば、口内の熱ですぐに溶け出すそれ。
甘い香りと味が口の中いっぱいに広がり、次第にはなくなった。


「……美味しい」

「よかった」


にこにこと笑顔を絶やさない小野くん。
なんか、な……。


「……小野くん」

「はい? っん、」


すぐ横にいる阿呆面な男に振り向き、その唇に自分のを押し付けた。
そっと離せば目の前いっぱいに再び阿呆面が写る。


「……お返し、ってことで」


自分からしたものの、やはり恥ずかしくて。すぐさま顔を逸らし、おまけに相手が見えないように背を向いた。
するとすぐに背中に重みを感じた。後ろから抱き締められたようで。


「チョコの味がしました」


振り返えらなくとも、この男がにやけ顔なのがわかった。




チョコ味のキスはいかが?
(甘くてちょっとほろ苦い)



バレンタインonkmデレver.
遅刻だけどなんとか書き上げられたますた。
デレさせる為の文が無理矢理過ぎたかなと少し反省。

取り敢えずonkm早く結婚しろ。

イメイラもろたよ!



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