妙な胸騒ぎ
『累!るーい!るい?』
私の近くの屋敷に、累っていう体の弱い男の子がいた
私は累と歳が近いこともあって、良く遊んでいた
遊んでいたと言うより、私が累に遊んでもらっていた感じ
「もう、なんだよみのり」
病床で体を起こして庭を見つめていたのか、私が声をかけるとこちらを振り返り、どうかしたのかと困った顔で言う累
…でも、そんな顔すら愛おしい
私は、累が好きなのだから
累がどう思っているのかは知らないけれど…
私が毎日遊びに行っても邪険にしない辺り、嫌われては居ないらしい
『ほら、小さいけど雪だるま作ってきたの!可愛いでしょ?』
「へえ…」
私が手を赤くして作った雪だるまを累に見せると、累は興味深そうに目を丸くした
『あ、触るのはダメだよ、冷たいから。累が風邪なんか引いたら私が苦しい』
「フッ、なんで風邪を引いた僕じゃなくてお前が苦しいんだよ」
『だって…』
好きな人が苦しかったら、誰でも自分も苦しくなるよ…
私がそう思っていると、何を思ったのか累は私の頭をさらりと撫でた
「…ありがとうな」
『…!…えへへ…』
照れ笑いを溢すと、累も嬉しそうに笑う
この、もどかしいけど誰よりも累に近い関係が、心地よかった
あの日までは
+累目線
僕には幼馴染みがいた
近くに住んでる、歳の近い女の子
彼女は、普通なら外に出て遊びたい盛りだろうに、外で遊ぶ子供たちには目もくれずに、毎日僕のところに遊びに来ては、話をして帰っていく
僕はそれが不思議で不思議で仕方なかった
僕はお前に何もしてやれないのに、なんで僕に執着するのか、わからなかった
…でも、あいつとの…みのりとの時間は、とても心地の良いものだった
ずっと一緒に居たいと思うほどに
…ねえ
もし僕が普通の男の子だったら、お前に告白して、恋人になれたのかな
僕の家とお前の家は仲が良いから、縁談話なんかも持ち上がったりして
結婚して、子供なんかも出来たのかな
まぁ、僕が"体の弱い子"であるうちは、叶うことのない夢だけれど
「お前のその夢、叶えてやろう」
ー…
「みのりさんっ!累が…!累がっ…!」
ある日、累のお母様が慌てて家へと駆け込んで来た
なにか飛んでもない事が起こったと言うことだけがわかった
私は、累のお母様をなんとかなだめ、累の家へと向かった
妙な胸騒ぎ
(なんだか嫌な予感がする胸を押さえながら)
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