意外な一面/義勇


その日の夜、しのぶさんから教えて貰った冨岡さんの好物だと言う鮭大根を作った


作ったことがなかったけど、料理が得意だったため、割りとうまくできたと思う


料理が得意で良かったと心から思った


食卓に作った鮭大根を並べる


「…」


『…その、どうぞ』


「…あぁ」


冨岡さんは頂きますと手を合わせると、早速鮭大根を口に運んだ


ドキドキ…ドキドキ…


『…どう、ですか…?』


「…あぁ、うまい」


少し表情を緩めてそう言うと彼に、私はほっとした


よかったぁ…


私も食べよう


自分も箸を持ち、頂きますをして食べ始めた


…うん、我ながら良いできだと思う


私はひっそりと笑みを浮かべた


それを盗み見た冨岡さんが、ふっと笑っていたなんて、私は知らなかった



「御馳走様でした」


『御馳走様でした』


二人でゆっくりと食事を済ませ、食事後のお茶を出す


『どうぞ』


「あぁ、ありがとう」


自分にもお茶を出し、二人でゆっくりと食後のお茶を楽しんだ


すると、その最中冨岡さんが急にごそごそと隊服のポケットからなにかを取り出し私に差し出した


『…?なんですか?』


「任務先で見付けた」


冨岡さんの手から受け取ったそれは、綺麗な硝子細工のついたかんざしで


『えっ、見付けたって…もらっていいんですか?』


「(こくん)」


もらっていいのか問いかけると、冨岡さんは無言で頷いた


『わあ…!ありがとうございます、大事にしますね!』


私は嬉しくなってそれを抱き締める


早速つけようと鏡を探すと、冨岡さんが貸せと言う


「…貸せ」


『え…?』


私がそのまま渡すと


「…動くなよ」


と言われ、冨岡さんとの距離が近くなり、冨岡さんの真剣な瞳に見つめられたかと思えば…


「…できたぞ」


『えっ?』


「ほら」


鏡を取ってきてくれて、私に差し出してくれる冨岡さん


私が鏡を覗き込むと、私の頭に、髪を綺麗に彩っているかんざしがあった


『わ、冨岡さん器用ですね…』


「そんなことはない」


それだけ言うと、またお茶を飲んだ冨岡さんに、私は笑ってしまった



…だって、冨岡さんの頬が少し赤く染まっていたから


冨岡さんも照れることあるんだ…


と思うと、つい笑ってしまった


なんだかかわいいな


その日はなんだか穏やかな気持ちで一日を過ごした





意外な一面

(かわいいな)


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