02:進展待ち


炭を買った女中が部屋に戻ってきたので聞いてみることにする


『…あの、彼が私のことを良く知っているって…』


「おやまぁ!炭治郎さんのことを覚えておられないのですか!?…まぁ、あんなことがあったあとですものね。記憶が混乱していらっしゃるのかも…」


女中さんは瞳を潤ませる

一体何があったと言うのだ

というかここは一体どこなのだ…

そんな私を露知らず、女中さんは続ける


「彼は、山の中で倒れていたお嬢様を助けてくださったんですよ。なんでも、鼻が良く利くから、血の臭いがわかったらしいですよ」


鼻が良く利く?凄いな…


『彼の名前は…?』


「彼は竈門炭治郎さんですよ」


竈門炭治郎さん…


「お父様を早くに亡くされて、お母様に楽をさせるために…」


その言葉を聞いたとき、ドクンと心臓が脈打つ


蘇る事故の光景


事故の時は両親も一緒だった


私はだんだん呼吸が浅くなるのを感じた


「…お嬢様?大丈夫ですか?」


私がいるのはどこなのか


私はどこに来てしまったのか


耐えきれず女中さんに問う


『私は…私は事故に遭って死んだはずなんです!それなのに、気付いたら彼岸花畑みたいなところにいて…光が見えたからそれを追いかけたら、ここにいて!ここは一体何処なんですか!?』


「お、お嬢様!落ち着いてください!お体に触ります!」


言われた通り、体にじくんと痛みが走った


女中さんに肩を押されて寝かされて、私はどうしようもない気分になる


『…私は一体誰なの…』


「お嬢様は、お嬢様でございます」


女中さんが優しく微笑む


きっと、彼女がいなかったら私はもっと混乱していただろう


『…ありがとう、ございます…』


そっとお礼を言った


「さ、ゆっくり眠ってくださいまし。寝て起きたら、きっと気分も良くなっておられますよ」


『…はい…』


そのまま、女中さんに言われるまま、眠りについた


次に起きたとき、進展があればいいけど…







進展待ち

(願わくは、次目覚めたときに)
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