32:蝶屋敷の仲間入り?
あれからどれくらいたったんだろう…
ようやく、涙が落ち着いてきた頃…ふすま越しに声をかけられた
「みのりさん?今よろしいですか?」
『あっ…はい!大丈夫です!』
慌てて、目にまだ浮かぶ涙を袖で拭った
すっと襖が開けられて、そこには胡蝶さんと、サイドテールの女の子、ツインテールの女の子…それから、その三人より小さい女の子が3人、立っていた
「この屋敷の住人を連れてきました。早速、自己紹介をしましょうか」
胡蝶さんの言葉で、部屋の中で、私とお屋敷の住人の女の子達が向き合って座る
「ーそれでは、僭越ながら私から。先ほど、少しお話ししましたよね?」
『はい』
胡蝶さんは、私がうなずくのを見ると微笑みを浮かべた
「では、軽く…で、いいですね。わたしは胡蝶しのぶ。階級、蟲柱…この屋敷は、わたしが任されているんです。そして、貴女の指導を任されているのも、わたしです」
『そうなんですね…よろしくお願いします』
笑みを浮かべる胡蝶さんに、私は頭を下げた
すると、胡蝶さんは笑って、次の人に挨拶を促した
「はい、よろしくお願いします。次は…カナヲ、自己紹介を」
「…(こくん)」
サイドテールの女の子は、胡蝶さんの言葉を聞き頷くと、私に視線を向けた
「…栗花落カナヲ。よろしく」
そういった栗花落さんからは、何故か、なんの感情も感じ取れなかった
『…よろしくお願いします、栗花落さん』
「…(こくん)」
私が不思議に思いながら挨拶をすると、栗花落さんも頷いてくれた
「…次は私ですね。アオイと言います。よろしくお願いします」
キリッとした表情の、ツインテールの女の子は、アオイと名乗った
『はい、よろしくお願いします、アオイさん』
アオイさんに笑顔を向けると、彼女は何故か一瞬驚いたような顔をしたあと、少しだけ口角を上げた
そして…
「最後は!」
「わたしたち!」
「だね!」
胡蝶さん、栗花落さん、アオイさんより幼い感じの女の子3人は、きよちゃん、なほちゃん、すみちゃんと名乗った
「「「よろしくお願いします!」」」
『…ふふ、よろしくね』
元気に挨拶をしてくれた3人に、微笑ましさから自然と笑みがこぼれた
それを見て、胡蝶さんが一人表情を緩める
「…さぁ、自己紹介も終わったことですし、そろそろ夕食の準備に取り掛かりましょうか?」
胡蝶さんがそう言うと、栗花落さんたちは頷く
『あ、私も手伝います!』
私がそう進言すると、胡蝶さんは少し驚いたような表情をしてから、微笑みを浮かべた
「…そうですね。その方が、早くみんなと仲良くなれるかもしれませんね。お願いしてもいいですか?」
『はい、もちろんです!』
そして、私たちは夕食の準備に取りかかり始めたのだったー…
蝶屋敷の仲間入り?
(…みんなと、早く仲良くなれたらいいな…)