30:薬師、医術師


炭治郎くんと別れてから、私は一人藤の花の屋敷へと向かっていた


そのお屋敷に着くと、門に藤の花の家紋があって…


私が門から声をかけると、一人のおばあさんが出てきた


「いらっしゃいませ…鬼狩り様の、江藤みのりさまですね?」


『あ、はい…』


「お話は伺っております。どうぞ、中へ…」


おばあさんに案内され、中へと進む


そして、とある部屋に着くと、おばあさんは一言声をかけてから扉を開けた


「…来たようですね」


「鬼狩り様の江藤さまをお連れしました」


「ありがとうございます」


部屋の中にいたのは、蝶々のような模様がかかれた羽織を来た女性で…


おばあさんが下がると、女性は私ににこりと笑いかけた


「…はじめまして、私は胡蝶しのぶと言います」



『あ、私は…』


「江藤みのりさんですよね?」


『は、はい…』


(なんで私のこと…)


そう考えていると、女性…胡蝶さんは、自分の前に座るよう、私に声をかけた


その通りにすると、胡蝶さんは、表情を少し緩めた


「…さて、早速本題に入りましょうか」


『本題…って、私がここに呼ばれた理由ですか?』 


「えぇ、その通りです」


胡蝶さんはうなずく


「実は、あなたはお館様に指名されたんです」


『…?…』


お館様…?指名…?


頭のなかで疑問符を飛ばしていると、胡蝶さんはクスリと笑った


「…ふふ、貴女は、顔に出るんですね」


『え…?』


「今、なにがなんだかわからないって顔をしていましたよ」


『えっ!?顔に出てました!?』


「ええ」


胡蝶さんは優しく笑う


…でも、それは、どこか悲しそうな雰囲気を帯びていて…


「…では、説明しますね」


気を取り直し、胡蝶さんは、

お館様が、鬼殺隊の最高管理者の方であること、

胡蝶さんが、柱であること、

…そして


「そして、貴女は私の元で、薬師、医術師としての修行をすることが、決まったんです」


『…薬師と、医術師…?』


「はい、そうです」


なんでも、胡蝶さんは、毒と薬を扱う剣士らしくて…


そして、その胡蝶さんの後継者として、お館様に選ばれたのが、私だということらしい


「貴女は、お館様に見込まれたんですよ」


『そ、そうなんですか…?』


お館様には、一度も会ったことないけど…


「…それで、江藤さん、どうしますか?」


『え?』


「一応、貴女のお返事を伺いたいのですが」


『…でも、私に拒否権は…』


「ふふ、そうですね、ないです」


胡蝶さんが笑ってそう言ったので、私は苦笑を溢した


『…わかりました。よろしくお願いします』


「ええ、こちらこそ、よろしくお願いしますね」


私と胡蝶さんは、笑いあった





薬師、医術師

(この日から、私は勉学に励むこととなった)
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