29:分かれ道


その後、私と炭治郎くんは、次の任務に向かうため、準備をしていた


しかし、私に告げられたのは、炭治郎くんとは違うものだった


「江藤みのり!オマエハ、藤ノ花ノ屋敷へ行ケ!藤ノ花ノ屋敷へ行ケ!」


『…え、私だけ?』


「ソウトモ!」


私はそっと、炭治郎くんを見る


炭治郎くんは、私を心配そうに見つめていた


心配をかけたくなくて、私は笑って見せる


『…ここからは、違う任務みたいだね』


「みのり…」


炭治郎くんは、悲しそうに瞳を伏せた


そんな顔をしてほしくなくて、明るい声を出す


『大丈夫!絶対に、死なないから。また、会おうね!』


私が笑いかけると、炭治郎くんは伏せた瞳を私に向け、微かに目を細めると、ぎゅっと私を抱き締めた


「…」


『…?炭治郎くん…?』


「…約束だからな」


『うん?』


「絶対に…絶対に、死ぬなよ」


『…うん』


私は頷いて、炭治郎くんの背中に腕を回した


私を抱き締める炭治郎くんの腕は、微かに震えている気がした






ーーー………


『…それじゃあ、ここからは別行動だね』


「あぁ。…またな」


『うん。またね』


二人の分かれ道まで来ると、私たちは笑いあって別れた



また、きっと会えると信じてー…






分かれ道

(約束だからな)
×
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -