27:三人の鬼
炭治郎くんが地面に刀を打ち込む
どうやら地面が沼のようになっているらしい
そこに鬼の隙ができたので私が沼の飛び込み女性を助け出した
私たちは鬼から距離をとる
この沼は鬼の異能、異能の鬼か…!
鬼の手はこの女の人の袖を握っており、それが、どうしようもなく、なんの罪の無い人が殺されたことを露に主張しているような気がした
罪のない人を殺したこの鬼は、「悪」以外の何者でもない
私と炭治郎くんはしっかりと気を引き締める
鬼はイラついたように歯軋りをした
その鬼に対して話しかける
『拐った女の人たちはどこにいるの!?』
「それから、二つ聞く!」
そう言うものの、鬼は聞かず沼に潜っていってしまった
これはだめだ…
『…すみません、和巳さん、この女性のことお願いできますか?』
「俺たちの間合いの中なら守れます」
「わ、わかった」
私は二人を守るため、女性を和巳さんに渡した
和巳さんは女性を抱え、私たちの少し後ろに立つ
この異能の鬼は、地面や壁を沼にして潜れるみたいだから、どこから現れるかわからない
下手したら空中から出てくる可能性もある
でも、この鬼は沼に潜っている間も、音を、匂いを消せない
二人で視線を合わし、背中を預け自分は前に集中した
『…!ここだ!』
鬼独特の音が聞こえた場所に刀を打ち込む
「くそっ…地上から沼の中が見えるのか!?」
鬼が沼から上半身を出してこちらを伺っている
片腕を庇っているから、切れたんだろう
三人とも全くおんなじ音…
基本的に鬼は群れない。一人の鬼が分裂したんだろう
聞き出さないと…鬼舞辻無惨のこと、鬼を人間に戻す方法を…!
次は炭治郎くんが鬼に切りかかった
しかし切り方が浅かったのか、鬼は逃げていく
鬼が言う
「貴様等ぁ!邪魔するなぁっ!その娘はもう十六になるんだよ!早く喰わないと刻一刻と日に日に味が落ちるんだ!!」
そこへ、おんなじ顔をした鬼が現れ、言う
「まぁ焦るな、冷静になれ、俺よ。もう大分この町では女を喰ったじゃないか。どの女も肉付きが良く美味だった…」
「俺はまだ足りないんだ俺よ!!俺はまだ喰い足りぬのだ!!」
屋根の上の鬼に、地上の鬼が噛みつく
「化け物!一昨晩拐った里子さんを返せ!」
和巳さんが勇気を出して鬼に言う
鬼の歯軋りが響く
「…里子…?誰のことかねぇ?」
そう言うと鬼は懐を開き、自分の収集品を見せてきた
「この収集品の中にその娘の簪があれば手を喰ってるよ」
その鬼の言葉に、和巳さんは絶望する
そこへ、地面から鬼の攻撃が繰り出され、炭治郎くんが撃退するも
壁に近寄り過ぎたため、壁からもう一体の鬼が攻撃を仕掛けてきた
だが、くるりと空中で一回転し、かわす
ところがそこへ、地面から鬼が攻撃してきて、それを禰豆子ちゃんが撃退した
三人の鬼
(同じ匂い、同じ音)