26:被害が出る前に
二人で道を急ぎ、目的の町に着いた
町の人の噂によると、ごく最近和巳さんという人の恋人である里子さんが消えたらしい
私達は顔を見合せ和巳さんのもとへ駆け出す
『和巳さん!!』
「…?」
「ちょっとお話を聞きたいのですが、いいですか?」
「…え…?」
和巳さんの話によると、夜、談笑しながら二人で路地を歩いていると、急に里子さんが消えたらしい
「…ここで里子さんが消えたんだ。信じて、もらえないかもしれないが…」
和巳さんが意気消沈しながらそういうので、私は
『そんなことありません!信じますよ!ね!』
「はい!信じます!」
私は近くで変な音がしないか耳を澄まし、炭治郎くんは地面に鼻を近づけ匂いを探る
「え…なにを…?」
動揺する和巳さんだが、今はそれに構っていられない
私は痕跡には弱いので、とりあえずは炭治郎くんに任せ、炭治郎くんの鼻を頼りに町中を進む
町中を進んでいくと、だんだんと日が沈んだ
「…信じてほしい。本当に消えたんだ」
そう願うように言う和巳さんに、炭治郎くんはしっかりと答える
「信じますよ。そのためにここに来ましたから」
それからまた日が暮れた
「…まだ続けるのか?」
「はい」
「…もう、こんな時間だ。俺のことを心配してくれるのは有難いが、続きは明日にして、少し、休んだ方が…、っ!?」
炭治郎くんが急にしゃがんだことに和巳さんが驚く
『鬼たちは夜活動するんです。だから、少なからず、今休むわけにはいなかないんです』
「その通りです。…ここらへんにも新しい匂いを見つけました。必ず、近くにいるはずです」
「あい、つら…?君たちは、まさか…本当に…?」
そうして、辺りを警戒していたとき
「『ーっ!』」
私達は鬼の気配を感じ、同時に反応し、駆け出す
「鬼が現れてる!」
『ついてきてください!』
炭治郎くんが先制して駆け出すので、私は和巳さんの様子を見ながら走る
炭治郎くんが地面に刀を突き刺し、女の人を救出したところで、やっと少しだけ、息を着けた
被害が出る前に
(間に合った)