23:無事、帰還


何あれ…!?


思わず息を詰め、心のなかで呟く


大きな体に、手が一杯生えている


…あ、男の子が一人捕まった


助けなきゃ…助けなきゃ…!


私が切り込もうとしたところ、それより早く炭治郎くんが鬼に斬り込んだ


『…っ!』


私はそれにつられて走って男の子の所に行き、男の子を背に刀に手をかけて威嚇する


すると、鬼がニヤリと笑って言った
 

「…また来たな。俺の狐が」


『「…っ、は…?」』


また来た?俺の狐?なんのこと?


思わず余計刀を持つ手に力を込める


その間に男の子は逃げていった


「男女の狐はあの時以来か…おい、今は明治何年だ」


炭治郎くんに問いかける鬼に、炭治郎くんは刀を構えたまま答える


「い、今は大正時代だ!」


「…たぁぁいしょう…?」


そう呟いてギョロギョロと目を動かすと、鬼は悲鳴を上げた


「あああああ!!年号がぁぁぁぁ!!年号が変わったぁぁぁぁ!!」


「な、なんだ…?」


思わず呟いた炭治郎くん


私も刀を抜き、構えようとすると、炭治郎くんが言う


「…っ、みのり!この鬼は俺がなんとかする、お前は逃げろ!」


『…そんなの、できるわけないでしょ!』


私は…守られるだけじゃない!


そう心のなかで呟いて、鬼へ斬りかかる


腕を数本切り落としたところで、鬼の手に弾かれてしまった


『ぅあっ!?』


木に激しく体を打ち付け、身体中に痛みが走る


『くっ…』


「みのりっ!」


私は朧気な意識のなか、鬼と炭治郎くんの攻防を見守る


炭治郎くん、頑張って…


そう思うのと同時に、炭治郎くんが鬼を切るのが見えた


「みのり!!大丈夫か!?」


『う、うん…なんとか…』


炭治郎くんに支えられ、立ち上がった


そのまま二人で東を目指した









…どれくらい時間がたっただろう


鬼を斬り、技を出し、私たちは生き延びていた


しばらく走って息を整えていると、藤の花が狂い咲いているところにでた


『あ…』


「…おわっ、たのか…」


二人して漸く肩の力を抜く


『よ、良かった…』


「ああ。…お疲れ様」


私たちは二人で生き延びたことを喜びあった


「「おかえりなさいませ」」


その後、鎹烏を貰ったり、色々あって、その日は帰宅となった


二人してひいひい言いながら花山師範と鱗滝さんの家を目指す


身体中が痛いから、時間が何時間もかかった


そして、鱗滝さんの家の近くまで来たとき


がっ


「…っ!禰豆子!!」


『禰豆子ちゃん!!』


どうやら、私達が最終選別に行っている間に目覚めたらしい、禰豆子ちゃんが扉を蹴り飛ばして、私達の所へかけてきて、私たちを抱き締めてきてくれた


その行動に、思わず涙が溢れた


「『禰豆子/禰豆子ちゃん…っ!』」


そこへ鱗滝さんと花山師範がやって来て、鱗滝さんが私たちを抱き締め、花山師範はなんだか優しい雰囲気を出していた


「…よく生きて帰ってきた」


「よく頑張ったな」






無事、帰還

(ただいま)
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