20:試練を越える
それからしばらくして
「…もう、お前に教えることはない」
…と、花山師範に言われた
「ついてこい」
花山師範についていき、着いたのは大きな川だった
「…この川を切れたら、お前が最終選別に行くことを許してやる」
と言われた
…川って、水の下に岩があるんだよね?
切れるものじゃなくない…?
そんな私にお構いなしに、花山師範は、それだけ告げると去っていった
『…はあ。やってみますか』
まっすぐに切り込んでみるが…やはり、水と岩に跳ね返され、刀は戻ってきてしまった
その日からが本当の訓練だったのかもしれない
そしてある日…
『やぁぁぁぁ!!』
私が川に向かって切り込むと、女の子の声が聞こえた
「それじゃあ斬れないよ」
『え…?』
ハッとしてその声の方に振り向くと、百合柄の着物の、狐の面をした女の子がいた
彼女は未来と言うらしい
なんでも、彼女は元々花山師範の元で修行をしていたらしい
彼女は色々花の呼吸について教えてくれた
型の発動のコツとか、どうしたら習得しやすくなるかとか
彼女は教えるのが得意らしい
お陰で私は大分コツをつかむことができた
その未来から紹介されたのは、神威という花山師範とはまた違う狐の面をした少年だった
神威は私に実践を積ませてやると、毎日修行をつけてくれた
それがきついのなんのって…
でも、炭治郎くんも同じく、錆兎くんと真菰ちゃんと言う人たちから修行をつけてもらっているらしく、お互い励まし合っているから頑張れた
お互いが元気の源だった
ーそして
大分たったある日
「ーようやく修行の成果を出せるようになったみたいだな」
『お陰さまで』
その日、神威は真剣を持っていた
私と神威は、正面から勝負をした
結果は…
私の勝ち
私の刃が先に神威の面を切っていた
神威は、ようやくやったじゃねえか、と言いたげな顔をしていた
「おめでとう。最終選別、絶対に生き残って」
「負けんじゃねーぞ」
2人の其の言葉を最後に、その場には百合とタンポポだけがのこっており、神威の面を切ったはずの私の刀は、川の水面と底を切りつけていた
『…っ!』
切れた…!
そこへ、花山師範がきた
「…よくやったな。まさかここまで大きな傷を残せるとは思っていなかったが…江藤みのり。お前を最終選別へ行くことを認めよう。…絶対に生き残れよ」
花山師範が私の頭にぽんと手をのせた
…暖かかった
試練を越える
(炭治郎くんはどうだろう?)