19:焦りと嫉妬
+炭治郎目線
きっと、俺は不安だったんだと思う
急に家族がいなくなって、禰豆子と俺と、みのりと三人だけになってしまって
急に誰かが居なくなる恐怖を、知ってしまったから
鬼殺隊にみのりが入ることで、みのりまでも、また、急にいなくなってしまう気がしたんだ
だって、鬼との戦いはいつも死と隣合わせ
修行だってこんなに辛いのに…
俺は禰豆子を人間に戻すためだが、みのりはなんのために鬼殺隊に入るんだろう
そう思うようになった
あの日、彼女は
『大丈夫。自分のことくらい自分で守れるよ。むしろ私は炭治郎くんのことを守りたい。だって私は貴方のこと好きだもの』
と言った
だがそれは逆だ
守りたいのは俺の方だ
大切な人なんだから
だが彼女は俺を守りたいと言う
…優しいんだ
昔から
さりげなく言われた"好きだもの"という言葉に、赤面したのは記憶に新しい
…あぁ、神様
どうか、彼女を…
みのりを、守ってください…
あの日から、どうやら炭治郎くんは修行に力が入っているらしいと、私が先に帰ってきたときに鱗滝さんに聞いた(なにかあったのかと聞かれた)
『最近炭治郎くん修行に力入ってるんですか?』
「あぁ。なんだか異常に燃えていてな」
『そうなんですね…』
無理とかしてないといいけど…
そう話していると、炭治郎くんが、疲れた顔で帰ってきた
「た、只今帰りましたぁ…」
『あ、お帰りなさい』
「た、ただいまぁ…」
『ふふ、頬に泥が着いてるよ』
炭治郎くんに近づいて手拭いで頬の泥を拭ってあげると、炭治郎くんの顔がまた赤くなった
『?大丈夫?』
「だ、大丈夫だ!」
『?そう…?』
私が首を傾げると、炭治郎くんは頬が赤いままあははと苦笑をこぼした
「…他の男には同じことするなよ」
赤くなった頬を押さえながらそう呟いた炭治郎くんに、私は目を丸くして笑った
焦りと嫉妬
(炭治郎の内面)