18:笑顔に隠した本音
花山師範の元で修行を始めてしばらくして、刀を持って修行を行うようになったりして、呼吸法も段々身に付けてきたことを、山下りで体感したころ
夜、私は炭治郎くんに呼び出された
なんでだろう、炭治郎くんも疲れているはずなのに
『…炭治郎くん?』
花山師範のおうちは鱗滝さんのおうちの隣にあって、私は普段は花山師範のおうちで寝泊まりしているんだけど、たまに鱗滝さんにお願いして炭治郎くんと一緒に寝たりしていた
鱗滝さんのおうちに入り、中にいる炭治郎くんに私が呼び掛けると、炭治郎くんはなんとも言えない顔で私を振り返る
なんだろう、音が不安そう…?
『どうしたの…?』
炭治郎くんのそばに行き、隣に座ると、炭治郎くんはうつむいてしまった
「…みのりは、この、鬼殺隊に入るってことが、どんなことか、分かっているのか?」
『え…?』
絞り出すように言われた言葉に、私は目を瞬く
『そりゃ…わかってるから来てるけど…どうしたの?』
「鬼と戦うってことは、命に関わることなんだぞ!?もしかしたら、死ぬかもしれない…命を落とすかもしれないんだぞ!?」
すがるように私に言う炭治郎くんに、私はわかってしまった
ああ、炭治郎くんは怖いんだ
また、身近な人が居なくなるのが
それで怯えて、こんなことを…
それなら、私のすることはひとつだけ
私は膝立ちをして炭治郎くんに近寄り、その頭を抱きしめた
「…!?みのり!?」
『よしよし…』
そのふわふわの髪を撫でると、炭治郎くんの顔が真っ赤に染まった
『…ふふ。だーいじょうぶだよ。私は死んだりしないから。そのために今毎日修行してるんだもん。でしょ?』
「…でも…」
『大丈夫。自分のことくらい自分で守れるよ。むしろ私は炭治郎くんのことを守りたい。だって私は貴方のこと好きだもの』
笑いながら、軽い気持ちで込めた本音に、炭治郎くんはばっとこっちを向いたので、私は笑った
笑顔に隠した本音
(本音を言ったけど、きっと笑顔で誤魔化せてるるはず。いつか言うからね)