17:"救われる"と"守りたい"
その後、炭治郎くんと鱗滝さんが出会い、私たちは、炭治郎くんは鱗滝さん、私は花山師範の元で修行を開始することとなった
それと同時に、禰豆子ちゃんは深い眠りについた
…まるで、人を喰わない代わりに眠りで傷を癒すように
花山師範は、元花柱だったらしく、元柱である師範の修行は過酷なものだった
まずはひ弱な体を鍛えるため、筋力作りから行った
それから、呼吸を使うために肺を鍛え、色々な修行をした
この修行が辛いのなんのって…
何度挫けそうになったことか…
『…っはぁー、つっかれたぁ…どう?炭治郎くんの方は』
私が鱗滝さんの家に帰ってくるなり炭治郎くんにそう問いかけると、炭治郎くんは苦笑を溢す
「まだまだだよ。俺ももっと頑張らないとなぁ…」
『炭治郎くんが頑張るなら、私はもっと頑張らないと』
「なら俺はもっとだ!」
そうやって私たちはお互いを励まし合った
これが、どれだけ救いになったことか
炭治郎くんにとっても同じであってほしいけれど、どうなのだろう
そんなことを思いながら、私は山下りを再開した
+炭治郎目線
俺の家族がいなくなってから、俺は良く悪夢を見るようになった
夢の中で、家族だけじゃなく、みのりまでどこかにいってしまう夢
俺は怖かった
それが現実になってしまうことが
いままで、"長男だから"と色々我慢してきたけど、彼女に関しては…みのりに関しては、我慢したくない
我慢したら、俺が今まで我慢して繋ぎ止めてきた"心"さえ、壊れてしまうような気がした
ある日、悪夢を見て泣きながら目覚めたら、目の前にみのりがいた
「はっ…みのり…?」
俺がそう呟くと、みのりはくすぐったそうに身をよじり、再び眠りについた
その寝顔が、微笑みが、暖かくて、安心して
俺はまた眠りにつくことが出来たんだ
その時に気付いた
俺にとってみのりは、救いであり守るべき存在なのだと
でも、みのりは花山さんの元で修行を続け、鬼殺隊に入るために努力を続けている
それは、死と隣り合わせにある戦いだ
みのりはそれをわかっているんだろうか…
ちゃんとみのりと向き合わないとな
そう思った
"救われる"と"守りたい"
(それがお前への気持ちだ)