13:質素だけど心のこもった


それからしばらく、竈門家の庭で、家の廊下に座りながら炭治郎が着いてくれていた


『…ぐす…ごめんね、もう大丈夫だよ。ありがとう』


私が涙を拭ってそう言うと


「そうか?また辛くなったらいつでも言うんだぞ」


と炭治郎くんは私の頭を撫でてくれた


…なんだろう、炭治郎くんの中では私も妹や弟の中に含まれているのだろうか


という複雑な疑問が芽生えた瞬間だった


「…?どうした?」


『え!?あ、あぁ、なんでもないよ!』


とっさに誤魔化して、立ち上がって深呼吸をするが…


『…寒いね』


「今は冬で雪も降っているからな」


『そっかぁ…』


炭治郎くんが苦笑する


「そうだ、家の中を案内するよ」


『え、いいの?』


「勿論。家のなかで迷子になったなんて、笑い事じゃ済まないからな」


と炭治郎くんは笑った


『ふふ、うん、そうだね』


普通の家よりかは広いが、流石に覚えられるだろう


…多分


その後、炭治郎くんに家の中を案内してもらって、皆と自己紹介をした


まず、長男が、炭治郎くん


で、長女が禰豆子ちゃん


次に、竹雄くんに、花子ちゃん


茂くんに、六太くんの順だ


いや、葵枝さん若いのにこんなに子沢山だなんて…


昔の人ってそんなに早期出産だったのか?


私は少し身震いした


みんなに自己紹介が終わると、葵枝さんから「お夕飯よ」と言われた


お夕飯は、きっと他と比べれば貧しいんだと思う


でも、葵枝さんと禰豆子ちゃんの思いのこもった美味しい料理だった


『美味しいです!』


「本当?ふふ、良かった、お口にあって」


「頑張ったかいがありました!」


『ありがとうございます!葵枝さん、禰豆子ちゃん!』


「いえいえ」


「そんなに一杯はないですけど、しっかり食べてくださいね!」


『はい!』


私は夕飯を美味しく頂いた



そうして、竈門家に来た一日目はあっと言うまに過ぎていった







質素だけど心のこもった

(竈門家のご飯)
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