11:二人で山へ


「うちに来ればいい」


『…えっと、それって…』


私は驚きで涙が止まり、炭治郎くんを見つめる



「そのまんまだ。俺の家は山の中にあるんだが、みのりさえよかったらうちに来ればいい。きっと母さんや妹や弟たちも歓迎するよ」


『…そんな…そんなに迷惑かけられないよ…』


私が落ち込んで視線を落とすと、炭治郎くんがふっと息をつく


「…そんなこと気にしてたのか。困ったときはお互い様。困った人がいたら助けるのは当然だ」 


『…でも…私は炭治郎くんに一度助けられてるんだよ?』


私がそう問いかけると、それがなんだと炭治郎くんはなんでもないように笑った


「それがなんだ、回数なんか関係ないよ。…その代わり、俺が困ったときは助けてくれ。な?」


どうやっても頷かない私に、仕方なしに交換条件を着けてくれる辺り、本当に炭治郎くんは優しい


私が気負わなくても良いように言葉を選んでくれているのだ


『…ありがとう』


どうせ、私は行くところがない


なら、炭治郎くんのところにお世話になって、恩を返すことを考えた方がいいのではないか


そう考えたとき


すん、と炭治郎くんが鼻を動かした


「…みのり、また気負ってるだろ」


『え!?ど、どうして…?』


図星を付かれ声が上ずる


「不安と気遣いの匂いがする」


『…あはは、炭治郎くんには隠し事できないね』


眉をハの字に曲げ、苦笑を溢す


「…よしよし」


『…』


炭治郎くんが、子供をあやすように私の頭を撫でてくれる


「大丈夫、だーいじょうぶ。俺はみのりの味方だよ。俺の前では気負うな。…な?」


『…っ!』


額と額を合わせられ、距離がつまり、緊張からひゅっと息がつまる


「…大丈夫」


『…う、ん。ありがとう』


もう一度そう言ってくれた炭治郎くんに、私はそっと頷いた








「…よし、夜になる前にうちへ行こう」


炭治郎くんはそう言うと私の手を握り立ち上がった


『…うん』


私はそれにつられて立ち上がった









二人で山へ

(炭治郎くんの家へ)
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