10:うちへおいで


「お前はまだひとりぼっちじゃない!」


そう言われて、私はボロボロと泣き出してしまった


『う、…う…!』



そっと体に回されてる炭治郎くんの腕に手を添え、私はボロボロと涙を溢す


炭治郎くんはそれを匂いで感じたのか、抱き締める力を強めてくれた


その体制のまま、私は泣き続けた


炭治郎くんは私の背中を撫でてくれていた











『…ひっく…ひっく…』


「…落ち着いたか?」


しばらくして、私が泣き止んだのを悟った炭治郎くんが、背中を撫でるのを止め、少しだけ体を離し、私の顔を覗き込んだ


『…うん、なんとか。ありがとうね。なんだか炭治郎くんには助けられてばかりだね!』


泣き姿を見せてしまったが、これ以上弱味を見せたくなくて、強がるように笑って見せる


「…そんなに強がらなくていいんだぞ」


『!!…そんな…強がってなんて…』


だが、炭治郎くんにはお見通しらしく、"強がらなくてもいい"と言われる


私は動揺した


また涙が出てきてしまったからだ


でもよく考えればそれはそうだ


いきなり知らない世界に飛ばされて、誰一人身内の居ない世界に来て、優しい人に出会ったかと思ったら、そのうちの一人を亡くすだなんて… 


一体私が何をしたと言うのだろう


きっと神様は私が嫌いなんだ


またポロポロと泪が出てきてしまう


「…お前は、この先、どうするつもりなんだ?」
 

炭治郎くんが問いかけてくる


『…どう、するんだろう…私の身内はもう誰一人として居ないし、誰も頼れないし…』


そう言うと、また炭治郎くんが私を抱き締める力を強めた


「誰も頼れない何て言うな。少なくとも、俺はみのりの力になりたいと思っている。俺を頼ってくれ」


炭治郎くんの泣きたくなるくらい優しい音色が耳に届く


…本当にやさしい人だな


『…でも、頼るって言ったってどう頼れば…』


そう私が視線をさ迷わせると


「うちに来ればいい」


と迷い無く言い切った










うちへおいで

(それはどういう…?)
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