ろぐ | ナノ





今日は忍足との初デートの日。初デートって言ったって、彼とわたしは幼馴染みだからふたりで出掛けることは別に初めてではないのだけれど、今までと違うのはこれがデートってこと。つまり先日忍足がわたしに長年の想いとやらを告白してくれて、もちろんわたしもおんなじ気持ちだったから、想いが通じあって初めてふたりでのお出かけ。だから軽いノリで待ち合わせなんてできるわけもなく、緊張しっぱなし。今までは適当に合わせてきた服も、今日は鏡の前でばっちり決めてきたわけで。髪型も、今までのわたしとは少しちがうようにちょっと巻いたり、メイクしてみたりとやってきた。うわ、どきどきしてきた。待ち合わせ時間まであと20分。




それからまた十分経ったけれど忍足はまだ来ない。あれ?おかしいなとそこで気がついた。そうだ、あいつは昔から何でも早いスピードスターだ。普通にふたりで出掛けるときも待ち合わせ時間には二時間早く来ていた。(だから10時から出掛けたい時は12時と行っておけばぴったりの時間に行けるんですよねー)なのに、忍足が10分前に来てない?おかしい。いや、普通なら全然おかしくないんだけど、忍足に限っては最上級におかしい。もしかして風邪でも引いたかな。大丈夫?なにかあった?と忍足にメールをしてぱちんと携帯を閉じた。おかしいなあ、こんなこと今までなかったのに。



ちょうど待ち合わせ時間になったんだけど未だに忍足からの連絡はない。何回も問い合わせたメールの受信ボックスを見て、なん回目かわからないため息をついた。
もしかして場所間違えたのかな。でもそれなら連絡してくるだろうしなあ。今日は日曜日だから、忍足には金曜日から会えてない。ただそれだけなのになんだかさみしくてたまらない、ような気がした。もう、忍足、どこにいんのよ。


それからまた十分経って、そろそろ心配になってきた。白石に「謙也知らへん?」とメールしてみたら「昨日の夜からメールかえってこんねん」と返ってきた。謙也は電話も繋がらない。もしかして事故にでもあったのかな。だったらどうしよう。謙也になにかあったら、わたし、生きていけないよ。

少し泣きそうになると、なんだか周りがざわざわしてるような気がした。なんだろう、やっぱり事故に…?急いでその中心を見ようとすると、場所はわたしたちの待ち合わせのすぐ近くの垣根だった。掻き分けて見ると、人が倒れていた。け、謙也!?



「だっ大丈夫っけんやっ」



声がつっかえながら謙也の頭もとに行って揺さぶる。…あれ、なんか寝息聞こえるけど。
思った通り謙也は寝ていた。あとから聞いた話謙也は今日の初デートが楽しみすぎて昨日の夜からこの場所でスタンバっていたらしい。夜眠れなかったせいで寝てしまった、と。
全くこいつはどこまで馬鹿なんだ。スピードしか良いとこないの、と突っ込みたくなったけれどまあそこが可愛いんだよね。愛すべき馬鹿って言うのかね。好きだよ。



まあ当然初デートは延期になった。今度はせめて二時間前にしろ、と警告しておきました。