ろぐ | ナノ




手にはハレルヤ・ハプティズムと書かれたプリントが何枚か。
これは生徒会に、ハレルヤくんが取りに来ないので「ハレルヤに渡してこい」と頼まれた結構大事なプリントだから、渡さないわけにはいかないわけでして。
ハレルヤくんはまあ見た目もさながら真面目なアレルヤくんと双子とは似ても似つかない(性格的な意味で)有名なケンカ番長で、なんていうか、怖いですよね普通。

で、そのハレルヤくんがいるであろう教室のドアの前に立つ。
一回深呼吸。よし、行くぞ。

「あ、あの」

「…んあ」

放課後の誰もいない教室の真ん中に何故かひとりで座っていた。
ひいい、ちょ、こえーよ。雰囲気がまず怖いから!

「これ、生徒会から、です」

思わず同い年なのに敬語になる。ああいかん、声が震える。

「…あー」

渡したプリントを眺めて、ハレルヤくんはちらりとこっちを見た。う、目が合った。

「これ届けに来たのか」

「は、はあ」

声、すごくアレルヤくんと同じ。…でも少し低い、かな。
目が金色ですごい綺麗。

「ふーん。ありがとな」

と言って頭をくしゃくしゃにされた。
か、髪ぼさぼさになるんですが!

「あ、あと」

「はい?」

「これ、やる」

へ?と言う間もなく何かが投げられたのであわててキャッチする。投げられたものは可愛い包装紙の飴だった。

「…いいの?」

「さっきアレルヤのヤツから貰ったけど俺いらねーし。礼だ、受け取っとけ」

そう言いながらハレルヤくんはドアを開けて出ていってしまった。


あれ、私震えがいつのまにか止まってる。
っていうか、意外とハレルヤくんっていい人?


私はそのまましばらく動けずに、飴を持ったまま立ち尽くしていた。あ、これ、苺味だ。



…あーとりあえず、すごく心臓がうるさい。






(好きになったかも、なんて)