ろぐ | ナノ
「せっちゃんは、もう経験ずみでしょ」
晩飯の時間になり、トレミーの食堂に行くと、でかい声で喚くなまえといつも通りな刹那とニコニコ笑っているアレルヤと苦笑するロックオンがいた。
「何がだ」
「あっティエリア」
必要な分だけの食事をとり、なまえの隣の席に移動する。またきっと馬鹿なことを言ってるにちがいない。
「何ってあれだよ」
「だから何だと聞いている」
「キスの話」
やっぱり馬鹿だった。聞いた僕も馬鹿だったと言えるだろう。
「で、せっちゃんは前ミーナが来たときにしたでしょ。で、アレルヤはマリーさんとしたって聞いたし」
ニコニコ聞いていたアレルヤが急にボン、っとゆでだこみたいになって爆発した。いや、比喩的な意味ではなく。
「で、ライルはフェルトとしたでしょ」
「あれはキスっつーか、」
「でも毎日アニューとしてるの見てたし」
苦笑していたライルこと二代目ロックオンは飲んでいたお茶を噴き出す。みんなが気付いてないとでも思ってるのだろうか。あんなに派手に夜…いや、なんでもない。
「ニールはなんかここに来る前にしてたような気がするんだよね。多分スメラギさんも」
確かにあの二人は恋愛に関して何かしらの大人なオーラを感じるような気がする。あくまでなんとなくだが。
「で、もうマイスターの中でしてないのは君だけなのだよ、ティエリア・アーデくん!という訳で私としてみません?」
「は、」
「ブッ」
ゴホゴホとライルがむせる。アレルヤが背中をさすさすとさすってやっていた。
しかし、何を言い出すんだこの馬鹿は…。
「何故その結論になるんだ」
「いや、一人だけ仲間はずれって言うのもかわいそうかなって」
それに私もやったことないし…まあ、恋人だし、となまえは付け加えた。
「無理だ」
「頼む!」
「ライルにでも頼めばいい」
「ライルタラシだから嫌だ!」
ゴホッと食べていた食べ物が気管に入ったらしくライルはまたむせた。アレルヤが今度は立ち上がりライルにお茶を取りにいく。
「何故僕でなければならない」
「ティ、ティエリアが好きだからに決まってんじゃん!馬鹿!」
「馬鹿に馬鹿と言われる筋合いはない」
しばらくギャーギャー言い合いをしてると、ガタっと音を立てて刹那がトレイを片付けに席を立つ。それを合図になまえが涙目になった。
「いいよ、もう、ティエリアは私のこと嫌いなんだ、」
「い、いや、」
「私もティエリアなんて…っ、」
そしてわんわん喚く。ああ、いい加減に静かにしてほしい。何歳だ君は。
先程とは違ってライルはニヤニヤしながらこちらを見ている。アレルヤはニコニコ、刹那は食後のまったりお茶を飲んでいる。
…本当に腹の立つ面々だ。
ぐい、と腕を引っ張って、
「なまえ、うるさい」
と言って口付けてやれば、途端に真っ赤になって静かになった。
なんて扱いやすい
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