ろぐ | ナノ




※一期のラスト後あたり



ニールがいなくなって、一年が経った。
世界は未だに変わらずに回る。刹那に言わせるとまだ歪んでいる。
クリスは死んで、リヒティも死んで、刹那は行方不明、アレルヤも行方不明、ハレレヤは消えた。ティエリアはそれでも前を向いた。

ラッセもティエリアも生きてた。フェルトとスメラギさんとイアンさんは生き残った。それだけでも涙が溢れそうだったのに。





『ねぇロックオン。あの星名前なんていうんだろ』

いつかロックオンにそう聞いたことがある。
小さくて、でもトレミーから間近で見るととても綺麗な星だった。

『さあな。一つ一つ名前付けるにはこの宇宙は広すぎる』

『そっか』

『あんなに綺麗でも、多分誰にも知られずに爆発して消えちまうなんて寂しいよな』

『でも今、私らが見たから、誰にも知られずにっていうのは無いよね』

なんなら名前でも付けてやれよとニールは笑う。私ネーミングセンスないから無理だと思う。

『多分名前なんかなくたっていいのさ。きっと存在することに意味があったんじゃないのか?』

『例えば?』

『今ここでお前さんと俺が見つけること、とかどうだ?』

いやいやそれになんの意味があるんだい。

『こうやって思ってもらうことに意味があったんじゃないかって俺は思うけどなあ』

『ふーん?』

『なんにせよ、宇宙は人が認識して初めて宇宙になった、なんて人の勝手っつーことだな』

『なんかむずかしいよ』

『まあ宇宙も人も、おんなじなのかもな』





あのときニールが何を言ってるかわからなかった。
わからなかったけど、世界の空を輝かしてる星のひとつなのに名前もつけられずに消えるのは寂しいなあと思った。
だから、私とニールだけでも覚えていようと、



「…ニール」

居なくなった彼の操縦席で息を吸う。
もう感じられない、匂い。


あの星が君のようだったんだ




あの星も貴方も忘れられない、忘れたくない。
でも、貴方の存在は皆の心にいつもある。




title:sappy