「っ、」
石に躓いて転びそうになる。久しぶりの地上だと重力の感覚が掴めない。
「あはは、ティエリアのそんな姿なんか滅多に見れたもんじゃないね」
彼女が地上に偵察に降りてもう1ヶ月が立つ。歩き方も慣れたものだ。
「うるさい」
「そう睨みなさんなってば。しょうがない、手をつないでてあげよう」
なまえの手が僕の手を取る。手から伝わる暖かさに少しどきりとする。
「離せ」
「だーめ!ティエリアが転ばなくなるまで繋いでやる!」
繋がれた手を引っ張って走る。待て待て、本当に転ぶからやめろ馬鹿。
しかし、彼女に手を繋がれ歩かれるのが非常に悔しい。
「君が宇宙に帰ったら今度は僕が繋いでやる」
「残念だが私は無重力空間ではティエリア君みたいに転んだりしないのだよ」
「フン、どうだか」
「このまま私おすすめのピザでも食べに行く?」
「…和食なら付き合おう」
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