私が西洋星占術科に転入してはやいもので二週間が経った。
あのあいさつ以来クラスのみんなと少しは話すようにはなれたと思う(自分的に!)けどもまだまだ打ち解けれない。できればこのままでいたいかったり…ってだめだめ。ちゃんと話せるようにならないと。やだなあ…自分のこういうところすごくきらい。
そういえばあのとき私に話しかけてくれた優しい人は誰だったんだろう。あの時は気が動転してたから顔がよく思い出せない。声ならなんとなく、というかうっすらなら思い出せる、ような気がするんだけどなあ。
そんなことを考えながら歩いていたらどん、と誰かにぶつかった。プリントがばさりと落ちる。わ、私がぼけっとしてたせいだ。どうしよう。早く、散らばったプリントを拾って、謝らなきゃ。


「す、すいませ」
「ああいいですよ。気にしないでください。僕が前を見てなかったのが悪かったんですし」


怒鳴られるかと覚悟してそっと顔を見るときれいなピンクの髪の男の子にこりと笑ってプリントを集めていた。き、綺麗な人、だなあ。


「…どうしました?僕の顔になにかついてますか?」
「あっ、や、あの」


顔が綺麗でつい見とれてました、なんて言えないのでつい口ごもってしまう。お、怒ってるかな…気分悪くさせちゃったかも。


「指、が」
「指?」
「綺麗だなあ…と思いまし、て」


また、何いってるの、私。初対面なのに変な女だって思われる。ああああ、恥ずかしい…!
笑われる、と思って伏せていた目を少しだけ開けると、一瞬目をぱちくりさせて彼はにっこり微笑んだ。


「ああこれ…ですか。僕、一応ピアノをやってるんです」
「ピアノ?」
「はい」
「ピ、ピアノやってるなんて、すごいですね!やっぱりいっぱい曲弾けたりするんですよね!わあ、いいなあ!実は私も少し憧れてて、や、偏見とかじゃないんですけど男の子がピアノっていいですね!」


あまりに私がいきいきと話すせいか、男の子はびっくりしていた。しまった。何でこんなに馴れ馴れしくしゃべっちゃったんだろう。また顔が赤くなるのがわかる。早く、プリント、拾わなきゃ。


「す、すいません」
「ふふ、貴女もピアノに興味があるんですか?」
「え、あ、はい」
「なら今度教えますよ。僕で良ければ、ですけど」
「い、いいんですか」
「はい。僕青空って言います」
「あ、青空くん?」

いきなりぶつかって馴れ馴れしく話しかけてきた女にまさかこんなにやさしくしてくれるなんて…こ、青空くんどこまでいい人なの、とじーんとなる。しかも名前の通りすごく澄みきった人、まさにぴったり!
最後の一枚のプリントをその人に渡すとありがとうございますとにっこり笑って足早に行ってしまった。も、もしかして青空くん急いでたのかな。だったらこんなに時間とらせちゃって、ほんと、申し訳ない。ごめんなさい。なにやってもほんとダメだなあ私…変わりたくてここまで来たのに。
謝りにいこう、と青空くんを追いかけようとして気付いたらもういなくなっていた。
でも今日は名前を聞いたし、探したらたぶん見つけられるよね。
学年は…うーんと男の子ってみんなおおきいからよくわからない。それは前会った人もおんなじ。
とにかく見つかったらまず謝って、迷惑じゃなかったらピアノ弾いてもらおう、と心に決心した。できれば前私の背中を押してくれた人にも。…っていっても声しか、手がかりはないんだけどね…。
相談できる人もいないしなあ、とため息をついたときにピン、と名案を思い付いた。
そうだ、せっかく今日星占術の基礎習ったし、占ってみようかな。何かの助けになるかもしれないし!





/





「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -