ごみばこ | ナノ



2011/07/20


暑い。じりじりと効果音が出てるんじゃないのかと疑いたくなるほど暑くてたまらない。こんな日は涼みながら部屋でアイスでも食べるに限る。クーラーは体にも悪いからというオカンの錫也ならではの扇風機で、そよそよと首にあたる風が気持ちいい。



「アイス買ってきたぞー」
「わーい!錫也ありがとう!」



錫也とどっちがアイスの買い出しに行くかを賭けてジャンケンをすると執念で私が勝ち、錫也が涼しい部屋を名残惜しそうに出ていったのがつい10分前。アイスの入ったコンビニ袋を置いて、錫也は涼もうと扇風機の前に座る。腕やら顔やらに暑かったであろう証の汗をかいていたので持っていたうちわで仰いでやると、錫也は少しだけ涼しそうな顔をした。



「何買ってきたのー?」
「お前が好きなそうなやつと、俺はみぞれ。ほら、見て」
「どれどれ…あ、おいしそう!」
「だろ?よかった、絶対これお前好きだと思ったよ」



錫也はわたしの好みを知っているので大抵言わなくてもわたしが好きそうなものがわかるみたいで、錫也がわたしに買ってきてくれたものはドンピシャでわたしが好きになるのだ。いただきます、と手を合わせてからしゃく、とアイスを口に入れると口のなかですぐに溶けて、おいしい。うん、やっぱり錫也の目に間違いはない。



「うまいか?」
「うん!錫也も食べる?」
「じゃあ俺も一口もらおうかな」



アイスごと渡そうと思ったら、目を閉じ口をあーんと開けて錫也が待っているので、恥ずかしさが少し躊躇わせたが結局暑いしいいか、というよくわからない理由で錫也の口にアイスを運んだ。「うん、おいしいな」と本当においしそうに顔を綻ばせるので、錫也が自分の作った料理をわたしに食べさせるときじーっとこっちを見てくる理由が少しわかった気がした。


「俺のも食べてみるか?」
「えっいいの?」
「いいよ」



はい、あーんなんて自然にしてくるもんだから、ただでさえ暑いのに熱が上がる。普段なら少しは抵抗するのに今は思考が熱っぽくて、そのまま受け入れてしまった。ん、錫也のみぞれおいしい!



「おいしい!」
「まあな。俺が選んだんだし」
「さすがおかん!」
「ありがと…ってそれ今関係なくないか」



アイスを食べ終わっので、床に寝そべる。床はひんやりしていて、すごく気持ちいい。



「あーあついー!」
「こら、お行儀悪いぞ」

「まあまあ、暑いし」



正直おいおいそりゃあねーよ、と思ったけれどもほんとに暑くて錫也には悪いが格好なんて気にしてられない。涼しくなるならば今の私は床にも頼るぞ!と思い、錫也の小言を聞こうと思ったけど予想外なことに錫也も床に寝そべった。



「ま、いっか。暑いしな」
「お!錫也もついに理解してくれたか」
「確かに涼しいなー」
「でしょう!溶けちゃいそうでしょ」
「このまま溶けたいなあ」
「うーんー」



暑くてもう自分で何を言ってるのかもわからないくらい暑い。それは錫也もおんなじみたいで、普段いつでも涼しそうな錫也も暑くてだらんとしていた。たまにはこんな錫也も可愛いなあ。



「すずやーあ」
「なんだよー」
「んー、好き」
「なんだよ急にー」
「んにゃ、言いたくなっただけ」
「俺も好きだよ」
「…ふへへ」
「なに笑ってるんだよ、はは」
「錫也もわらってんじゃん」
「暑くておかしくなってるのかもな」
「だらけた錫也、見たのはじめてかも」
「そうか?」
「かわいーい。ふふふ」
「お前のほうが可愛いよ」
「あー、錫也はすぐそう言うー」
「だってそう思ってるもん」
「ふふ、私より錫也のほうが可愛いんじゃないの」
「そーかもなー」
「否定しないんだー」
「嘘だよ。お前が、一番可愛い」
「…暑いんだからもう、ほんとにとろけちゃうよ」
「それでいいんだよ」
「なんでー」
「お前はもっと、俺でいっぱいになってとろけちゃえばいーの」




◎バカップルが書きたかったのにまとまらんかった…

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