2012/01/21
「ねー白石ー」
「んーなんや?」
「今読んでる本な、こう、誰も認めてくれない身分違いで、下町娘を守るために男が死ぬっていう悲恋小説やねんけど」
「ベタやなあ」
「アホ、ベタなんがええねん。『あなたと居れたことがわたしの生きる意味でした…愛してます』なんて真顔で言う王子がかっこええねんか」
「あーそれなんか謙也とユウジも読んどってボロ泣きしとったわ。ユウジなんか張り切って『小春ううう俺小春と居れて幸せやああああああ愛しとるでえええ』って言うてた」
「そのセリフ、ユウジが言うとなんや微妙やな…ってちゃうくて」
「なん?」
「白石やったら、私がどっかの下町娘で、白石が王子で恋して、みんなから反対されとって、私が狙われとったら、守るために身投げれる?」
「んー…せやなあ…」
「あっ迷うとこなんや」
「だって死ぬんやで?えらい覚悟いるんとちゃうん。そんなん軽々しく口にもできんへんやろ」
「そう…(そんな真剣に考えるんや)」
「まあもし、自分がそんな目に遭うたら」
「おん」
「世界中を敵に回してでも俺は自分を守ったる、な」
「…はい?」
「俺はそんな王子みたいにかっこええ人間やあらへんから、自分を守るために俺が死ぬとかありえへん。だってそしたらもう会えんし。残した自分に辛い思いさせたないし。そんなん耐えられへんわ」
「…………」
「どないしたん、顔真っ赤やで」
「……この、モテ男!」
「なんでや。俺が守ったるのは、生涯で自分だけやで」
「…………!」
「どや?王子より俺に惚れたやろ」
「…むかつく!」
◎ガチで言いそうな白石。自分=相手ってわかってるんだけど文読むとどうもナルシストに聞こえる。強ちまちがってないか