2011/11/20
※たくらん←まさき
「…つっまんねー、の」
俺からのイタズラに気づく様子もなく、霧野先輩はキャプテンのとなりで笑っている。悲しげに俺の手からぶらさがっているカエルのおもちゃに再び目をやると、いささか自分が虚しくなった。
こんなんで、男が驚くわけない。霧野先輩は見た目こそ女子っぽいけど、別に女々しいわけじゃない。むしろ、そこらへんの男子よりかっこいい。と、思う。
( って、なに言ってんだ俺は。)
なのに、俺はなんでこれで霧野先輩をびっくりさせようなんて、思ったんだろう。
「ごほっ」
「神童!大丈夫か?風邪か?」
「ああ…昨日少し薄着で寝たからな。風邪かもしれない」
「ったく、気を付けろよ。神童。何かあったら遅いんだから、今日は休めよな」
「いや、休むほどじゃないさ」
「そうか…まあもしもの時は俺に言えよ?」
「ありがとう、霧野」
少し遠くから聞こえてくるふたりの会話に思わず下唇を噛んだ。聞きたくなくて、ここを離れようと足を動かすが、動かない。
あの二人は仲が良いのは入部したときから知っていた。霧野先輩の、キャプテンに対する想いも。それに気づいて、からかってやろうと思ったのに。
(きりのせんぱいが、もっとやなヤツだったら、よかったのに)
あんな態度の悪いことをした一年生に、ちゃんと向き合って、ちゃんと怒ってくれるなんて。俺にとっては初めてとも言える体験だった。いつもだったら、無視されて、外されて…そんなことを想像してたのに、
いつのまにか霧野先輩に構ってもらえるのがうれしくて、もっと話したくて、キャプテンよりもこっちを見ててほしくて、そんなのないってことは分かってるのに、見ててほしくて、
( あれ、 )
揺れるピンクの髪の毛も、女子みたいな顔立ちも、いい匂いも、男らしい性格も、全部、こっちに向いててほしくて
( これじゃあ、まるで )
◎たくらん←まさきだいっすきです。
イナゴ書いたの初めて…