ごみばこ | ナノ



2011/11/19


ね、ね、と肩をつつかれる。自分は今は明日提出するレポートを書いている途中なのだから静かにしてほしいと思う反面で人差し指でつつきながら可愛い声で自分を呼ぶ彼女が可愛くてしかたない。このまま彼女を無視して目の前のレポートに集中すべきか、あきらめて放棄して彼女との時間に充てるか、前者と後者のどちらが優先すべき事なのかと考えたらもちろん後者が圧倒的優位なってしまう俺はもちろん周りに言われるまでもなく親バカならぬ彼女バカなのだろう。


「どうした?」
「んー、話がしたいなあと思いまして」


やっと話を聞いてもらえたのが嬉しいのか、顔をぱあっと輝かせて微笑む。悪い、と思ったがそれよりも俺が彼女にこんな顔をさせている、俺の一言一言でこんなにもめまぐるしく彼女の表情が変わることが嬉しくて嬉しくてたまらなくなった。ああまずい、顔がにやけそうだ。彼女の前でそんな情けない顔はできないので右手の手のひらで口元を覆い隠した。



「どしたん」
「…別に、なんでもない」
「うっそだー。なんか、照れてるでしょ」


ポーカーフェイスというか表情を隠すという行為自体は得意だと自分では思っているのだけれども彼女の前だとなんら意味を成さなくなってしまう。いや、すぐに見破られてしまうというか、見透かされてしまうというか。怖いのがそれを彼女が素の天然でやってるということなので自分を守る唯一の壁が消えてしまった俺はこれ以上ボロを出したくなくて、黙りこんだ。


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