ごみばこ | ナノ



2011/09/23

人間の、いや、地球での世界はくだらないから、嫌いだ。宇宙のように広い視野を捉えるのではなく、嫌なことには目をつむり避けて我関せずと言った顔で知らんふりをするのはどこの人間でも同じだからだ。自らの欠点を認めようとはせずに他人の不幸を笑い、群れになる。だから、そんな人間で溢れた地球に降りると気分が悪くなる。それに比べて宇宙は気分が良い。なんの概念にとらわれることなくただ無限の広がりを僕に見せてくれる。ひとりぼっちでも、地球のひとりぼっちに比べたら規模が違うが、宇宙は自分ひとりしか居ないような感覚に浸れる。心が満たされる。それはとてつもなく、ヴェーダの感覚に似ているようだった。


「ティエリアー、地球ってのはお前さんが思ってるほど悪いもんじゃねーぜ?」



そうだろうか?ならば聞こうロックオン・ストラトス。君は宇宙と地球どちらがより好きなんだ?



「おいおい、マイスターにそれを聞くのか?地上での紛争根絶を武力介入で止めたいと願うマイスターに」



ならば、



「でもな、ティエリア。地球は俺の産まれた星だから、そこにどんな人間がいようとあそこは他の星とは違って生命の溢れる星だ。色んな人間がいる。俺はあそこが故郷で良かったと今でも思う」
「人間がくだらないと笑うには、お前さんはもう知りすぎちまったんじゃないのか?色んな人間を」
「そんで人間が生み出す『感情』ってやつを、お前はたくさんの人間とふれあって感じたんだろう?」



いつだって、生み出された時から人間なんてものには興味なく、ただガンダムマイスターになるだけに生まれてきた。ずっと他のパイロットが人間なんて煩いし足手まといなだけかと思っていた。それでも、トレミーの皆やアレルヤ、刹那、そして、あなたと関わってから『人間』を1つ括りすることはできなくなったし、やめた。…それに僕は、



「お前自身はもう立派な『人間』だよ。誰がなんと言ったってな」


頬から流れる水を見て、これが涙だと気づく。知らない内に滲んだようだ。視界から彼が消えないように、涙を払って首を振った。そうだ、ガンダム以外のことで初めて涙を流したのは彼のことだった。頼むから、お願いだから死ぬな、と。



「僕はあなたに人間にしてもらったんですね」
「そんなことねぇよ。お前の力だ」
「ありがとう、…ニール。あなたのお陰で私はまだ戦えそうです」
「ああ。無理すんなよ」
「…行って、しまうのですね」
「さみしいのは嫌だからな。もう行くぜ」
「お疲れ、様でした」
「俺がいなくなったってまた泣くなよ?」
「いいえ、僕はもう二度と泣きません。…いつか、貴方ともう一度会うまで」
「ああ、頼もしいや。じゃあまたな。後は、任せた」




「どうか安らかに ニール・ディランディ」








◎一期のおわり。どうやってニールの死から立ち直ったんだろーって考えた( ^o^ 三 ^o^ )

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