2011/07/20
「ユーリ」
少し向こうから自分を呼ぶ、どうもその呼び声が心地いいので何回でも聞きたくなって、返答を返さないで黙ってみる。すると予想通り何度かユーリ、ユーリと俺の名前を呼ぶ声がした。昔から聞きなれてるとはいえ今も変わらない声だ。
「ユーリ、いるんだろう?」
ひょいと顔を出した幼なじみは何故返事をしないのか至極謎のような顔をして眉をひそめていた。
めんどくさかったんだよ、と返すとどこまでめんどくさがり屋なんだと余計に眉をひそめた。そんな顔がまた好きなんだよなと言うと誰がそんな言葉で喜ぶかとしかめっつらで言われた。別に嘘じゃねーんだけど。
「フレン」
と今度はこっちが呼んでみる。
普段ならフレンはきっちりしてるやつだから呼んだらすぐに返事をするがさっきのことを少し根に持ってるのか数秒黙ってから「…なんだ」と返答をした。相変わらず眉間に皺を寄せたままで。
昔から何度呼びあっただろうか。ケンカした時も一緒に戦ったときも久しぶりの再会の時も俺の人生のなかで一番多く呼びあったのは良くも悪くもこいつだからな。あ、ラピードもかもしれねえ。
けどきっとこの先もそうなんだろう。願わくばこれからもずっと、なんて言ったらどんな顔をするかと思っておもわずフレンに言ってみたくなった。
◎ずいぶん前に書いたユリフレ