2011/07/20
「トウコー見てごらん」
「はいはい」
Nが何回も呼ぶので、なによって言う前にずいっと黄色い物体がNに押し出される。なにこれすごいもふもふしてる、クッション?
「じゃーん。トウコ、このポケモンは知ってるかな」
顔からクッションみたいなものが離れたと思ったら「ピッカ!」と鳴き声がした。ほっぺたが真っ赤で、耳先が黒い。あ、なんか見たことあるかもしれない。
「うーん…なんだっけ…イッシュ地方のポケモンじゃないよね?」
「うん。カントーの方の子だよ。名前は」
「ストップ!待って、今思い出す」
まじまじと見つめあうと黒いふたつの目がくるんくるんしててすごく可愛い。あーゲットしたいなあ…。ほんと可愛い。
「じゃああと10秒だよ。9、8」
「えっは、はやいってN!」
Nが得意気に(ポケモンのことになるといつもそうだけど)まさに私がわからないのを楽しんでみてるゆうな目でカウントダウンを始めるので、私もそれにつられてつい急いで考える。えーと…えーと…ピカピカ言ってるから…
「4、3」
「ピカ…ピカ…」
「2、」
「…あっわかった!」
「1、残念だねトウコもう時間切れだ。僕が言っちゃうよ」
「っだからあピカ、」
ちゅー、と言った音と唇が触れあう音が重なった。
「そうだよ正解。よくできました」
『ピカ?』
「チュー、だろ?君の名前は」
『ピッピカチュー!』
「ふふ、トウコのほっぺピカチュウみたいに真っ赤だね」
「……っ、」
「ピカ一?」
『チュウ?』
「う、うるさいうるさい!もう知らない!!!」
「ふふっ」
◎ただそれがしたかっただけのN