ごみばこ | ナノ



2011/07/20


誰もが知っている通り、彼はかなりの口下手である。部活の時などで話す内容とは違う、プライベート的な話になると途端に静かになるタイプなので犬飼や白鳥にからかわれたとしても上手く交わすことなどせずにそのまま受け取って怒る。否、おそらく彼には上手く交わすといった概念がないのかもしれない。それは武士とも呼ばれる彼の、真面目が過ぎる性格故なのだろうか。「大切な人への大事な言葉は軽々しく言うものじゃない」という教えを請うた部員も心配になるくらいに、彼女の月子も彼から愛の言葉を聞いたことはあまりない、らしい。



「先輩はそれでいいんですか?」
「なんで?いいよ」



月子があまりにもあっけからんと言うものだから、本当にこの二人は恋人なのかと要らぬ世話だとわかっていても焼いてしまう。



「僕、言いましょうか?」
「なんて?」
「彼女ほったらかしてると、取られちゃいますよって」



割りと、結構本気で言ったのだが月子は「そんなの絶対ないよ」と軽く流されてしまった。今、すごく地味にのろけられた気がする。そういえば彼は冗談めかして言ったことは必ず本気にするから話をするのに苦労するのだけれど、彼女は自分が冗談めかして言ったことは必ず冗談にとってさらりと流すので彼以上にこれまた苦労する。彼女のスルースキルはもう異常なくらいに高い。



「先輩は不安になったりしないんですか」
「どうして?まさか宮地くん浮気でもしてた?」
「別にそういうのは無いですけど…」
「なら大丈夫だよ」



どうしてそこまで言い切れるのか木ノ瀬には解らなかった。恋人から愛の言葉が貰えなかったりするのは普通じゃないのか?常人なら、普通堪えきれなくなったら伝えると思うのは自分だけなのだろうか。むしろそう思う自分が、おかしいのだろうか。心底、自分にはわからない。そう考えていると、疑問が顔に出てしまったのか彼のように自分の額にも皺が寄ってしまっていたようだ。月子はそんな木ノ瀬を見て、木ノ瀬が何を言いたいのか全てお見通し、と言うように笑った。続けて「わからないかなあ、」と呟いた。


「信じてるからだよ、宮地くんのこと」





◎書き方変えようと思ったけど撃沈したのでしばらく放りっぱなしになってました。もう二度とこんな書き方で書かない。


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