にゃー

ガラシャと孫市が歩いていると、その目の前を子猫が通り過ぎる。

「孫! 孫! 猫じゃ! 猫がいるぞ!」

「あぁ、そうだな」


ガラシャは指を差してはしゃぎ、猫に駆け寄った。
頭を撫でると、猫はガラシャの手に体をすり寄せる。ガラシャは嬉しそうに微笑んだ。


「可愛いのう〜。よし、決めたぞ! わらわがこの猫を飼う!」

「まじかよ。つうかその猫首輪してんじゃねぇか」


「うむ、そうじゃな」

本当だ、と素直に頷くガラシャに、孫市は違うだろと突っ込みを入れる。

「いや、そうじゃなくて……飼い猫だろ?」

「そうなのか! さぁ猫、城に帰るのじゃ!」

猫を抱き上げ、意気揚々と踵を返すガラシャ。


「待てって! 飼い主が探してるんじゃないのか?」

慌てた孫市が引き止めると、ガラシャは驚いた表情で猫を見据えた。


「なんと! そちには飼い主がいるのか?」

「だからさっきそう言ったじゃねぇか……」

「そうか……残念じゃ〜」

がっくりとうなだれるガラシャを説得するように、孫市がガラシャの頭をポンポンと叩く。

「だから置いて帰るぞ。な?」


「……む〜、致し方ない。わかったのじゃ」

元居た所に猫をおろす。猫はガラシャを見つめて尻尾を振った。
にゃー、と一言鳴いて、草むらの中へ消える。


「猫ー! またわらわに会いに来るのじゃぞー? 約束じゃー!」


「……全く、子供のお守りは疲れるぜ」

猫が見えなくなってからもしばらく手を振り続けるガラシャに対し、孫市は小さな声で呟いた。





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