にゃー 突如として背後から聞こえた鳴き声に、三成は振り返った。 その先にいたのは、真っ白な毛の子猫。首輪には猫と刻まれている。 「……どうやって城内に入ってきた」 首を傾げる猫に、三成はふうとため息を吐いた。 「ここは貴様がくる場所ではない。早く出て行け」 それだけ言い捨てると三成は踵を返し、早足で歩き始める。 猫がそれを追う。 三成はそれに気付くと、面倒くさそうに立ち止まった。その足にすり寄る猫。 「邪魔だ。俺は猫の相手をしている暇などないのだよ」 にゃーと鳴きながら尚も足にじゃれつく猫に、三成は小さく舌打ちした。 「……仕方がない。餌くらいならくれてやる。そこで待っていろ」 ――しばらくして、器を持ってきた三成はそれを猫の足元に置く。 「食ったら出て行け。いいな」 そう言い残し、猫に背を向けて去っていった。 ← → ← |