短編 | ナノ
▼ 溶けたアイス

今日は休みの日で、彼氏の赤也の家に遊びに来ている。
お家デートと言えば響きは良いかもしれないが、単に暑いから一歩も外に出たくないと言うのが本音だ。
加えて金欠でもある。
もちろん赤也が、だ。

「暑いー、離れて」
「嫌っス」

後ろからべったりとくっついて来る赤也を、これ程ウザいと思った事はない。
冬にされたら別に構わない。
けど今は夏だぞ夏。

クーラーが壊れているらしく、それが無い場所でくっつかれたら暑さも半端ない。
代用で扇風機があるが、それだけではじっとりとした暑さは防げない。
まぁ無いよりはマシだが。

「暑くて溶けるよー」
「溶けてもいいじゃないっスか!そしたらゆーごーして俺達一緒にいられるでしょ?」
「…よく融合って言葉知ってたね」
「馬鹿にしないでくださいよ!そのくらい俺だって知ってるっス」

それにしても暑いっスねー、と私にくっついてだらだらしながら言う赤也。
暑いなら離れたらいいじゃん。
原因の八割はどう考えたって赤也だ。
しかも耳元で暑い暑いと言われるものだから、尚更暑くなってくる。

何か、突破口を見つけなくては。

「アイス、買いに行こうか」
「俺金欠…」
「おごってあげるから」

今日だけね、と言うと同時に名前大好きー!と尚更ぎゅうっと引っ付いてきた。

嗚呼、暑い。
でもたまにはこんな暑さもいいのかもしれない。






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