あのひとにまつわる過去の話 | ナノ


あのひとにまつわる過去の話
彼女の恐怖政治
尊いまなこに冒されて羽化するさま
三つ編みがじょうずだったね
骨になったら帰ります
聖女は二度救わない
ぬるい慕情が交わるばかり
ほんとうに悪魔のようだとほほえんだのが最後
あの人を連れ去っては便りも寄越さぬ空がきらい
キスをあげるからお休みよ
海の坂へ
あり余る生について
煙草とコーヒーと午後二時の攻防
男と女が居ただけのこと
自由の首が落とされるは今か
微睡みをついばむ昼下がりはあなたと
ちょうどレモン・ティーに飽きた頃です
さしてたがわぬ道なれど
駆け引きの真似事でもしましょうか
今日もあなたの代わりに優しさの剥製が届く
奪いはせず与えもしない共存
待てども続きはあなたが隠してしまった
いとしい黒髪が風に踊るのをただ見つめていた
あらゆる悪を従える生命
正直者の手は冷たいそうだよ
かの告解に耳を塞いではならぬ
トーキョー・ゲーム
よくある悲劇も最後は結ばれるのならよかったのに
誰かの言葉に逃げてしまうのは僕の臆病
耳を塞いでかぶりを振るのは私の裏切り
明かりも点けずに孤独を恐れた朝もありました
仄めかす春はいつだって無責任だ
わたしの知らぬ善の領域を臨むか
そんな言葉を投げつけて泣くくせに
やけに挑発的なセーラー服が目を眩ますばかりだ
いま夏の腹へ呑まれようとしている

いつかピアノがきこえなくなった、窓際のマリーゴールドは枯れていた、風があるじの眠りを知らせに訪れた
20140810