冷え込む床はなに一つ知りもしないのに | ナノ


還りゆくもの/かげおくり



冷え込む床はなに一つ知りもしないのに
物言わぬ影だけが名残惜しげであるのです


つくづく孤独な野郎であると
唯一ぼくを引き留めるとしたらきみを置いていくことへの痛みだろうね
残念だけどまだ種明かしはしてあげない



マニアック・ドライヴ・ナイト



所詮出鱈目に死にゆくだけの
かわいそうなうなじ、噛み付いてもいい?



但しそこに奇蹟は居ない
それじゃあねまた明日にも逢いたいね
どうしたらきみの大事な誰かになれるの
催涙電話


おまえの法とやらに攫われてみようか
まっさらな五感がおいしそう
眠れぬ夜をおしえてあげる



静かに、つづきは僕が




栄光に取り憑かれた男
そうして三日月の晩も残り香だけが優しいのだ
なるべく浅はかなうちにいなくなってね
ついに祝福の春にいだかれて眠るべく




迫りくる極彩色に眩む間すら
空に恋した魚のおはなし