そこは御愛嬌。 | ナノ
屋上ではたまにテニス部のレギュラーのみで軽いミーティングが行われる。それにはマネージャーの私も参加してるんだけど、まあ結局はみんなで騒ぎながらお弁当を食べるだけ。
「あ、丸井先輩それ下さいよ、タコさんウインナー!」
「ダーメ、これは俺が食うんだよぃ」
「…丸井先輩のケチ!」
ケチケチと騒ぐ赤也を眺めつつ丸井のお弁当を覗くと、美味しそうなプチトマトがあった。ていうか流石というか何というか、丸井のお弁当って全体的に美味しそう。
「じゃあプチトマトちょうだい」
「ダメ」
即答されたので赤也と一緒にケチケチと騒ぎながら丸井に攻撃していたら真田に怒鳴られた。悪いのは丸井なのに。
「おーおー怒鳴られて可哀想にのう。まなみ、こっち来んしゃい。まーくんが慰めて」
「死ね仁王」
「あ、じゃあまなみ先輩、俺のトマトあげますよ!」
「まじで!ありがとー赤也!」
「お前は嫌いなだけだろう」
冷静に突っ込まれてしゅんとする赤也を更に「好き嫌いなどたるんどる」と怒鳴る真田は今日絶好調らしい。丸井とまとめてしばかれればいいのに。あと仁王。
「幸村、ミーティングしなくていいのかよ?」
「ああ、そうだね。じゃあ丸井真田仁王、俺と試合ね」
「「「え…」」」
「丸井は減量、真田と仁王には少し黙ることが必要なようだからね」
「ちょ、幸村くん俺今日ちょっと調子悪いんだけど」
「俺もじゃ」
「今日は腕の調子が良いんだ。楽しみにしておくといいよ」
あとは全員通常メニューをこなすこと。
爽やかに言い放つ幸村とは対照的に黙りこくる三人は、鳴り響くチャイムすら聞こえないかのようにしばらくの間俯いていた。