そこは御愛嬌。 | ナノ
次の日の昼休み。
そういえば、だ。冬休みはその影すらなかったから私は完全に忘れていたけれど、大村さんという存在がいたのだ。私の一番の不安要素は仁王ではなく彼女だった。
正直みんなもそのまま忘れていてくれればと思ったのだけれど、律儀にというか何というか、赤也と柳は相変わらず大村さんを屋上に連れてきた。
「もー、冬休みの間優美先輩と会えなくて超寂しかったッスよ!」
「そんな無理に嘘吐かなくていいんだよ?」
「ホントだって。俺らだって寂しかったし、な、ジャッカル」
「ああ、まあな」
案外忘れていたのは私だけみたいで、みんなは冬休み前と同じように大村さんを囲んで話し始めた。
ただ仁王だけはいつかと同じようにみんなからちょっと離れた私の隣に腰を下ろしたけれど。
「何?人見知り再開?」
「そんなんじゃなか。ただおまんと話したくなっただ」
「キモいウザい離れろ」