「……ってわけだから、明日よろしく!」
俺は部屋に戻ってきたソーマに告げた。
「は?」
「だから、情報と引き換えに明日1日ソーマを貸してくれってお願いされたからよろしく!」
「……勝手に了承するな」
「いてっ」
かなり強く頭にチョップされた。
「断っておけ」
「えー…。でも約束しちゃったし」
「断れ」
「……わかったよ。じゃあ明日会ったときに言っとく」
なんとなくソーマなら仕方ないなとなんだかんだで行ってくれると思ったのだが……。
「……コウタ」
「ん?」
「あまりここのやつらとは関わらない方がよさそうだ」
「関わらないどころかあまり話すら出来てないけどね。……理由は?」
「なんとなく」
ソーマはそれだけ言うとシャワーを浴びに行ってしまった。
「なんとなく、ね……」
*****
「それで一人で来たの?」
「ああ。申し訳ないけど」
約束の時間になったので俺は待ち合わせ場所に行き、とりあえず謝った。
「べつにいいよ。しかしソーマ君には警戒されてるのか」
「警戒?」
「こっちの話」
「そっか。まあ、そういうわけだから俺は帰るよ」
用件は言った。
俺は部屋に戻ろうと後ろを向く。
すると後ろから手がのびてきて布を鼻と口にあてられた
(……え?)
「ソーマ君を他の人に相手をしてもらっておけば確実に邪魔されない保証がある。でもどうせ邪魔する時間すらないから大丈夫だろう」
(何言って……)
くらり…
意識がとびそうになる。
凄く、眠い。
「おやすみ、コウタ君」
その声を最後に俺は意識を手放した。
*****
ピピピ……
通信機に連絡が入った。
榊博士からだ。
「どうした、博士」
『やあ、ソーマ君。調子はどうだい?』
「この学校に連れてきた理由が聞きたい。アラガミじゃないものがいるんだが」
『それが今回調べてほしい対象だ』
「アラガミじゃないって、わかってたのか」
『……。そういえば、コウタ君は?』
「あいつなら出掛けている」
『一人にして平気かい?』
「どういう意味だ」
『腕輪の反応が、弱くなっている』
「…チッ……めんどくせぇな」
ソーマは立ち上がりコウタを探しに部屋を飛び出した。