「やっと着いた……」
ちょっと探検するつもりが二時間以上も迷子になってしまった。
「疲れた。もう今日はシャワー浴びて休もうぜ」
「……ああ」
「考え事?」
「博士が言っていたのはさっきのやつの事か?」
「え、あんなよくわからないやつを調べるの!?」
「あと、個人的に調べたいことがある」
「なにについて?」
「……」
「ちょ、無言!?」
ソーマはそのままシャワールームに向かってしまった。
「はぁ、全部教えろとは言わないけど、ひとりで抱え込むのだけはやめてくれよな……」
聞こえないように小さな声で俺は呟いた。
*****
朝日が眩しい。
目をあけるのが苦だ。
「起きろ」
そんな声が聞こえる。
無理矢理目をあければ、ぼやける視界。
瞬きを繰り返し視界がはっきりとしていく。
「あ……ソーマ、おはよ……」
「いつまで寝てるつもりだ。時間まであと10分だ」
「え?!もうミッション時間!!急がなきゃ」
ガバッと勢いをつけて起き上がって気付いた。
「あれ、ソーマいつもと服違う?」
「寝ぼけてるのか?昨日特別任務の為に来ただろう」
「……あ」
すっかり忘れていた。
昨日から俺たちは学生(仮)なのか。
「さっさと着替えろ」
「お、おう」
俺はすぐに準備を済ませた。
*****
「ここはアスガルドと呼ばれる場所。13階建てね」
待ち合わせ場所に行くと、昨日の子が説明をしてくれながら校舎を案内してくれることになった。
「あなた達のクラスは3階だから」
「はい。って教室は?」
「教室は1つしかないからすぐわかると思う」
「少なっ」
広い学校なのに……。
「人が全校で50人にも満たないから仕方ないわ」
「……」
「人が少ないなら好都合だな。任務は余裕そうだ」
「ソーマは任務のことばかりだな」
「お前は何も考えてなさすぎだろ」
「う……」
確かに任務が優先だからソーマが正しいのだけど、ちょっと寂しい。
ソーマと学生気分味わえるなんてめったにないことだからだと思う。
「あ、そろそろ授業の時間ね。また詳細は後程教えるから教室に向かって」
「はい」
「それと気を付けて……」
「え?」
「いずれわかるわ」
そういって女の子は去っていった。
「行っちゃった。名前聞きそびれたね」
ソーマを見れば眉間にシワがよっていた。
「不機嫌すぎない?考え事?」
「……悪い。先に教室行っといてくれ」
「えっ!ソーマ!?」
俺を置いてソーマも去ってしまった。
仕方ないので俺は教室に向かうことにした。