雨の日

「……雨、急に降ってきたね。リーダー達無事だといいけど」

「ああ」

俺達は今ミッションのために来ていた。
リーダーとアリサの二人とはぐれてしまったうえに雨が降ってきたので俺とソーマは一時雨宿りすることにした。

「でも、目標討伐終わった後でよかったよね。討伐中だったらかなり苦戦になるところだったよ」

「そうだな」

「……」

「……」

「会話が続かない」

「静かにしとけばいいだろ」

「せっかく二人なんだよ。何かさ、普段しないような話をしようぜ」

「普段からあまり会話してないだろ」

「そうだけどさ…」

雨も冷たいけどソーマも冷たいな。
俺は静かにしようとうつむく。するとソーマが舌打ちをした。

「……仕方ないな。お題は」

え?まさかの話してくれる感じなの?

「! じゃあ、恋話!」

「女子か」

「いいじゃん。ソーマのそういう話とかなかなか聞けなさそうだし」

期待の眼差しを送ると、ソーマが悩み始めた。
そして回答は

「……ないな」

「だよね。そんな気がしてた」

「お前はどうなんだ?」

「え……恋話ね……。俺、ソーマのことが好きなんだよね」

思い付いたことを言ってみたのだが言った後に後悔した。
これ、冗談通じないソーマにはドン引きされるんじゃないか?

「……」

「あ、やっぱり引く?冗談なんだけどさ、場を盛り上げるにはちょっとインパクト強すぎて笑えないよね」

ははは、ソーマの目線が冷たい。
助けてリーダー!

「恋話俺もないからさ」

「じゃあ何故振ってきた」

「なんとなく」

俺がそういうとソーマは盛大なため息をついていた。
ちょっと申し訳ないな。
ふと視線を空に向けると雨がやんでいた。

「あ、話してたら雨やんだね。そろそろリーダー達の所に戻ろうか」

無駄に勢いをつけて立ち、ソーマに手を差し出す。

「行こうぜ」

「……」

あれ?無反応?

「……ソーマ?……わっ…」

動かないソーマを見て不思議に思い首をかしげていると急に腕を掴み引きよせられる。
突然のことすぎてバランスを崩してしまいソーマの膝の上にのってしまった。

「ちょ、いきなり何……」

「好きだ」

「……へっ…!?」

耳元で囁かれる。
不意打ち攻撃に対抗する術はない。
俺は顔を隠したかったので立ち上がりソーマに背を向ける。
今、自分でもわかるくらい赤面してる。

「い、いきなり何いっ……」

「冗談だけどな」

「……ッ、なんなんだよ」

「仕返しだ」

そう言ってソーマは静かに立ち迎えのヘリの来る方へ歩き始めた。

「仕返しって……子供かよ……」

変に慌てた俺がバカみたいじゃないか。

心の中で呟きつつ俺はソーマのあとを追いかけた。


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