「…ギルさん、話があります」
ギルさんの姿を見つけて俺は言った。
「ああ、お前か……俺の処分が決まったのか?」
「ロミオ先輩とギルさんの関係を修復したいんです」
「へぇ、そうかい……あのジュリウスって隊長に頼まれたんだろ?」
「いや、巻き込まれた。さっさと仲直りしやがれちくしょう」
「お前、キャラが定まってないよな?・・・・・・俺はやるべきことを、やるべきときにやった。他意はないさ。ま、配属早々つまんないものを見せたことは詫びるよ。あとでロミオにも…」
「ミッションに支障はない?ないよな?あるわけないよな?問題解決だよな?」
「あ、ああ、問題ない」
「よし!じゃ、俺は先に行ってるから。そうだ、自己紹介してなかったな。俺はシキっていうんだ。これからよろしくな暴力ゴリラ!」
俺は手をさしだす。
「…お前と仲良く出来る気がしないがよろしく」
ギルさんは俺の手を握りかえしてきた。
ミシミシと骨がきしむ音がお互いの手から聞こえる。
心が通じ合ったようだ。
俺は次のミッションを確認すべくフランさんのもとに向かうことにした。
「……」
「そんなに心配するな…。ロミオには、あとでしっかり詫びておくさ。まあ…今後ともよろしくな」
「もうデレ期の始まり?早すぎない?」
「デレてねえよ」
「いひゃいいひゃい」
ギルさんに抓られた頬が痛い。
俺は頬をさすりつつギルさんを見る。
「……そういえばギルさんの自己紹介聞いてない」
「……さっきは変な流れになっちまったしな。俺はギルバート・マクレイン、グラスゴーからの転属だ」
「転属とかあるんですね」
「お前は?」
「俺は神機使いになったばかりなので」
「そうか」
「それじゃ、俺は今度こそ行きます。ちゃんとロミオ先輩と仲直りしてくださいね!」
「ああ」
俺はフライアロビーに向かった。
多分これで大丈夫だ。
よかった。めんどくさい人じゃなくて。
ロビーに戻るとロミオ先輩はナナとまだおでんパンを食べていた。
俺はその図に和みつつフランさんに話しかける。
「あの、フランさ…」
「フライアの進路上に大規模なアラガミの群れを確認。グレム局長は、近隣の支部に応援要請を打診してます。フライアへの合流ルートを確保しましょう。応援の方が少しでも安全に合流できるように…」
「はい」
メンバーはギルさんとロミオ先輩とナナ。
少々不安は残るけれどきっと大丈夫だ。
俺はミッションを受注した。