スキ(の続き)
「……」

「今度はどうしたんですか、隊長?」

「……エリナ、俺はどうしていいか分からない」

「とりあえず、アラガミを一緒に探してください」

エリナに怒り気味に言われて俺は思い出した。
そうだ。いまミッション中だった。

「ぼーっと突っ立ってないで行くぞエリナ」

「ぼーっとしてたのは隊長だけですから!」

***

「はぁ……」

やっとミッションが終わった。
俺は自室に帰りベッドに横になる。

スキだのと話した日からソーマのことが気になって仕方がない。
ずっと何故かもやもやしている。

「なんでだよ」

俺は枕を叩き八つ当たりをする。

「……」

もしかして、という予感はある。
だけど、仮にそれだとしたら全否定した矢先の事なので正直どうかと思う。

「スキになったなんて、ない。絶対」

そういいきかせる。
俺はとりあえずラウンジで何か食べようと部屋を出ようとする。
ドアが開いたところでソーマにちょうど遭遇した。

「「!」」

あまりにもタイミングがよかった為お互いに驚いた。

「……」

「……」

「……あ、部屋はいる?」

「……ああ」

つい部屋に招いてしまった。

「お茶でいい?」

ソファーに座っていたソーマに聞くと「ああ」と言いながらうなずいた。
俺はお茶をグラスに注ぎソーマに出す。

「で、用事?」

「べつに用はない」

「え?」

「エリナにお前の様子がおかしいからどうにかしてくれと」

「……あー……」

エリナが他人に任せるレベルに俺はダメだったのか。反省。

「悩みでもあるのか?」

「え゛っ」

つい反応してしまった。

「話くらいは聞く」

「いやいいよ!大丈夫!全然問題ないっ」

「……そうか」

「……」

「……」

「……」

沈黙が気まずい。
何か話題……。
俺が話題を探しているとソーマが口を開いた。

「この間の話」

「な、なに?」

「コウタは恋愛感情的な意味では俺を見てないって言っていただろ」

「ああ……言ったけど……」

自分で言ったことなのに酷く胸に刺さる感じがした。

(やっぱり、これって……)

「あの話で悩んでいるのか?」

「……なんで?」

「あの日から様子がおかしいから」

「、」

ばれてた。
なんて勘が鋭いやつなんだ。

「で、どうなんだ」

「……その話で悩んでるって言ったら…?」

「俺にもまだ可能性があるんだと希望がもてる」

「………………は?」

予想外な発言に俺は目を丸くする。

「可能性って……?」

俺が聞くとソーマが座ってたソファーから腰をあげ俺に近寄る。

「ソーマ?」

目の前に立つソーマに俺は首をかしげる。

「好きだ」

「えっと……あ、ありがとう?」

「恋愛感情的な意味で」

「!!!?」

驚きすぎて勢いよく後ろに下がってしまった。

予想外すぎる。

「い、いつから」

「わりと前から」

「嘘だ……全然そんな感じ……」

「お前みたいに表情豊かじゃないんだ。悪かったな」

ソーマの性格上冗談ではなさそうだ。
だとしたら、嬉しい。

(嬉しい…?)

いや、おちつけよ!
俺は……ソーマのこと……。
分からない。
自分の気持ちがわからない。

「俺…ソーマのこと好きなのかな?」

「本人に聞くのか?」

「だって、わからないんだよ!嬉しいとか思うんだけど……でも、俺男だし。そもそも、ソーマはかっこよくて強くて俺なんかにはもったいな……」

言い終わる前に腕を引かれて抱き締められた。

「俺はお前がいいんだ。俺が選んだのだから心配する必要ないだろ」

「……」

ああ、もうわけがわからない。
嬉しくて、恥ずかしくて泣けてきた。

「俺もソーマのことがすき……」

俺はソーマを抱き締めかえした。


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