「失礼します」
俺は局長室に足を踏み入れる。
おそるおそる後ろから付いてきたロミオ先輩は周りを見渡す。
「あ……あれ?ユノさんは?」
「ヘリで飛行中かしらね。極東支部へ向かって」
ロミオが聞くと先程の赤髪の人が答えた。
「ええっ!遅かった……」
すごく残念そうだ。
「ん?貴様は見ない顔……」
さっきの偉そうなやつ、グレム局長が俺を見る。
「いや、思い出した。ブラッドの第二期候補生だろう。写真通りの顔だな」
「ど、どうも」
「それでなんだ?ラケル博士の使いか?」
「えっ」
あ、どうしよう。
ユノさんを見にきただけとは言えない。
なにか考えるんだ。
俺は無い頭で必死に考えをひねり出す。
「グレム局長は、モテるんですね!」
自分で言って無いなと思った。
「そ、そうですよ!ユノさんとも仲がイイとかハンパないっす」
(えぇーっ……。ロミオ先輩ノるの?そこにかぶせちゃうの!?)
「馬鹿者、仕事だ仕事。私が公私混同する男に見えるか?え?」
(わぁ、局長も満更じゃ無いようすだ……)
「見え……ないっす!」
(ロミオ先輩嘘つくの苦手そうだな)
「さあ、おしゃべりは終わりだ!貴様らは任務に戻れ」
「失礼しました!」
「失礼しましたあ……」
グレム局長に言われたため俺たちは部屋を出た。
「ユノさんいなくて残念でしたね」
「くっそー、こんなことってあるかよ!グレム局長に会いにいったんじゃないっつーの……」
「そんなこといっちゃって、実は好きってパターンですか?」
「違うよ!?……まあでも、お前のこと見直したぜ。あのグレム局長の部屋に堂々と乗り込んでいくなんてさ」
「ロミオ先輩と違って俺はへたれじゃないですからね」
(局長がどのくらいえらい人なのかが分からなかっただなんて言えない)
エレベーターに乗りロビーにつくとナナが出迎えてくれた。
「ユノさんに会えなかった?」
「ああ……」
「やっぱりねー!がっかりな結果になるのは予想てきてたよ!」
「まあ、俺もなんとなく予想ついてたわ……」
「な、なんで二人して哀れんだ眼差しで俺を見るんだ!」
「シキ、次のミッション一緒に行こう」
「ああ」
「おーい、無視するなよ」
俺たちはフランさんのいるカウンターへむかった。