今日も眠れない。
刻々と過ぎる時計を見てため息をつく。
まあ問題はない。
仕事はこなせるはずだ。
半ば今日も睡眠をとるのを諦めようとして部屋の電気をつける。するとそのタイミングでバンッと勢いよく部屋の扉が開く。
「ソーマ!ソーマ!」
慌てた様子でコウタがやってきた。
「なんだ?」
「……あ、よかったぁ…」
ほ、と胸をなでおろしコウタは部屋から出ていこうとする。
「ちょっとまて。気になる行動をして去ってくな」
俺はコウタを引き留める。
「……え?ああ、ごめんごめん。ちょっと怖い夢見ちゃって、大丈夫か確認したかったんだ」
「お前でも怖い夢見るんだな」
「どういう意味だよ……。ってかソーマごめん、起こした?」
「いや、大丈夫だ」
「もしかして、また眠れなかったのか?」
「……」
「じゃあソーマ一緒に寝ようぜ!」
「は?」
「俺ちょっと一人になるの不安だからさ、いいだろ?」
不安って…さっき普通に帰ろうとしていただろ。いや、これはこいつなりの気遣いなのかもしれない。
「……ああ」
「じゃあ決まり」
素早くベッドまで行きコウタが手招きをする。
俺は行動力にあきれつつベッドまであるく。
「誰かと寝るの久しぶりだな」
「寝たことあるのか?」
「最近だとリーダーかな」
「……」
「いや、べつに変なことはしてないから!」
あいつのことだから、多分セクハラレベルのことぐらいは平気でやってそうだ。
「ソーマもはやく布団入れよー」
「ああ」
俺は布団に入る。
「なんでこっちに背を向けるんだよ」
「お前がこっちを見てるから」
「俺に見られるの嫌なの!?」
「そういうわけじゃない。ただ…」
俺は言いながらコウタの方を見る。
「顔、近いとお前が困るだろ?」
思った以上の至近距離で俺も地味に驚いた。
コウタはすぐに俺に背を向けた。
「おい、なんでこっちに背を向ける」
「だっ……だって、」
「キスするときとか顔近づけるだろ」
「ちょ、それとこれとは別!!そもそも俺はキスの時は目閉じてるし」
「どうせ寝るんだ。目を閉じとけばいいだろ」
「あ、そうか」
単純思考なのかコウタはこちらを向き目を閉じた。
「おやすみ、ソーマ」
「ああ、おやすみ」
そう言いながら俺はコウタの唇にキスをした。
「ちょ、なに…!!」
ガバッと起き上がるコウタに「寝るぞ」と言って俺も目を閉じた。