照れる
「おっかしーな……。ラウンジにもいない……」

俺、藤木コウタは人を探している。
だけどやつは見つからない。
部屋にもいない。研究室にもいない。病室にもいない。

「一体どこに……」

俺は半ば探すのを諦めようとしていた。
そんなタイミングで探し人は見つかった。

「ソーマ、こんなところにいた」

「……なんだ、コウタか」

本を読んでいるらしくソーマはちらりとこちらを見てすぐに読書を再開してしまった。

「おう…って、なんだとはなんだよ。せっかくミッション誘ってやろうと思ったのに」

「別に俺はどちらでもいい」

本を読みながら答えるソーマに俺はため息をつく。仕方がない。
他に手があいてる人はいないし、一人でミッションに行くか、等と一瞬俺は考えるが冷静になった。

「ごめん……心細いから一緒に来てください」

「……プライドはないのか?」

ソーマは本を閉じながら言う。

「だってさ、ヴァジュラ相手に一人だぜ?俺ヴァジュラ苦手なんだよ」

「……仕方ない。ついていってやる」

「! ありがとう」

俺達はさっそくヒバリちゃんの元に行きミッションを受注する。

「準備はいいか?」

「いつでも大丈夫だぜ!ちゃんとバックアップするからな」

「ああ」

俺達はミッションに向かった。

*****

「いてて……」

消毒液がしみて、俺はびくりと強ばる。

「無茶するからだ」

「あれはいける気がしたんだよ」

「いけるどころかスタンにかかって攻撃くらってただろ」

「ははは……」

「ほら、消毒終わったぞ」

「サンキュー!」

「もう無茶はするなよ?」

「分かってるって!さ、次のミッションに行くかな」

立ち上がろうとしたら肩を捕まれて椅子に強制的に戻される。

「どうしたの?」

「少し休んでいけ」

「え?でも、」

休む理由が見当たらない。
俺はソーマと違って寝不足だなんてこともないし、怪我も大したことはない。

「俺がお前といたいんだ」

「……ッ…」

は?
今ソーマがすごくらしくないことを言った気がする。

「……なんてな」

「……え?」

「顔赤くなってるが、大丈夫か?」

「だっ、大丈夫だ!」

く、こいつ絶対分かって言ってる。

「コウタ」

「なんだよ……」

ソーマは俺の肩に手をおいたまま額にキスをしてきた。
俺はそれに反応が遅れあたふたと慌てるしかできなかった。

「いつも思うがお前は不意打ちに弱いな。ミッション中もよくてんぱってる」

「うう…うるさい!!」

満足気なソーマを見て俺は悔しくなって何か対抗出来ないか考える。

「今仕返ししようとか考えてるか?」

「わー!!思考を読むなぁぁぁ!!」

「分かりやすいやつだ」

「からかうなよ!俺だって……」

立ち上がりソーマの胸ぐらを掴み引き寄せキスをする。

ぽかん…としてるソーマを見つつ俺は「どうだ!」と言ってやる。

「俺だってやるときはやるんだよ!参ったか……」

自分がした行動を思い返して恥ずかしくなったため俺は腕で顔を隠す。
できることなら部屋から逃げ出したい。

「自分でやって照れるのは有りか?」

「……」

ぐいっと腕を捕まれて顔を隠せなくされる。
目のやり場に困る俺はソーマから全力で目をそらすことしかできない。

顎を持ち上げられ強制的に目が合う。
そして唇を重ねられる。

「ん……」

逃げようと後ろに下がろうとするが腰に手を回され引き寄せられる。
そしてしばらく口付けを繰り返される。

「っ……はぁ、」

やっと開放された頃には俺は体に力が入らなくなっていた。

「コウタ、いいか…?」

そう聞かれてなんのことか理解した俺は静かに頷いた。

おわれ


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