episode.08
「新規適合者の実地訓練を兼ねたミッションか……。一人じゃ寂しいから誰かに同行してもらいたいな」

(ジュリウス隊長かナナあたりにお願いしようかな)

悩んでいたら急に左肩に手を置かれた。

「シキ!これからミッション?」

「え……あ、ロミオ先輩。そうですけど」

「じゃあ俺も一緒に行ってやるよ。先輩が戦いかたを教えてやる!」

「本当ですか!?じゃあロミオ先輩と二人でミッションをお願いします」

「承りました」

フランさんがカタカタと操作する。
そしてワンテンポ遅れてロミオ先輩が、驚いたように声をあげる。

「え、二人!?ジュリウスとかナナは?」

「ロミオ先輩強そうなのでこのくらいのミッション大人数でいく必要ないじゃないですか」

「あ、ああ……。まあな!俺に全部任せておけよ!」

「はい!頼りにしてます先輩!」

ミッションの受注が完了し俺とロミオ先輩はミッションに向かった。

「あれ、ミッションに行くのー?」

「ナナ、丁度よかった!お前にも戦い方教えてやるから一緒に行こうぜ!」

「「え?」」

ロミオ先輩は早急にカウンターに行き同行メンバーの追加申請をした。

「なんか、突然でごめんな」

「ううん。シキは悪くないよ!それに暇だったから全然いいよ」

ナナの心の広さに感謝しつつ俺達はミッションに向かった。

††††

「よし!よーく見とけよ!」

「はいはい、しっかり見ててやるよロミオ先輩」

「ロミオ先輩がんばれー」

「お前ら先輩呼びしてるだけで全然先輩扱いしてないよな……。まあいいけど」

最初にナイトホロウを倒すことにした。

「まずは、遠くから敵の様子を伺……」

「わーい、私一番!!」

「待てよナナ!俺が一番だぜ!!」

「おい、話を聞け新入りーっ!!」

▼ナイトホロウを倒しました

「……お前ら……」

「さあ、次行こうぜロミオ先輩」

次はコクーンメイデン。
ショートで斬って討伐が完了した。

「わりと早くミッションは終わったね」

「ああ、俺達の実力ならこのくらい朝飯前だな」

わいわいと話ながらフライアに帰投し、ロビーで俺達は次のミッションまでの時間駄弁ることにした。

「俺はお前らに言いたいことがある」

そういい放ったのはロミオ先輩である。

「突然どうしたんですか?」

ナナが聞くとロミオ先輩の説教タイムがはじまった。
ぺらぺらと続く言葉を俺とナナは聞き流す。

「だいたいお前らさ、前に出過ぎなんだよ。敵の動きをちゃんと見極めてからさー……」

「えー、ロミオ先輩がビビりすぎなだけなんじゃない?」

ナナがいたずらがてら先輩に近づく。

「ちょ、ちょ…ナナ、近いよ…!」

その図に和んでいたらロミオ先輩が後退ってきて俺にぶつかる。
俺はとっさのことで支えきれず、後ろに数歩よろけ、誰かにぶつかる。

「あ、すいません」

「ごめんなさい…」

俺とロミオはすかさずぶつかった相手に謝る。
綺麗な女の人だった。

しばらく見入っていると、偉そうな雰囲気をかもしだしている人が現れた。

「全く貴様らは……。ユノさん本当にすみませんねぇ」

「いえ…」

「あんまりロビーでははしゃがないでね。大事なお客様にご迷惑でしょ?」

ユノさんと偉そうな人と一緒にいた赤髪の女の人が俺達に言ってきた。

「はーい…すみませんでしたー……」

ナナの言葉とともに俺達は反省した。

「いやー不躾ですみません。戦うしか脳のないやつらで」

偉そうな人が言う言葉に少々イラつきつつ、なにも言い返せないので俺はエレベータの方に行くユノさん達を見送る。

「あれ、先輩どうしたの?」

ナナの声に反応し俺はロミオ先輩の方を見る。

「ばっか、お前…あれ、あれ!ユノ!」

「ユノ?知ってる?」

ナナが俺に聞いてきたので俺は首をかしげる。

「マジで!?芦原ユノだよ!ユノアシハラ!超歌うまいの!有名人!カメラ持ってきてれば良かったー。くっそー」

(ロミオ先輩はユノが好きなのか…)

本気で悔しがっているロミオ先輩を見て結論に至った。

「何かまだユノの香りが残ってる気がするよ」

「変態だな」

「今日は風呂に入らないようにしとこ」

「えー…先輩、お風呂くらいは入ろうよ」

「いやいや、だってさ今日というこの日はもう二度と戻って来ないんだよ」

「なるほど、頑張ってください。よし、先行こう」

呆れたように言いながらナナは歩き始めた。
俺もあとに続く。
すると後ろから慌てた様子でロミオ先輩が追いかけてきた。

「おい、待てよ!」

(ナナはロミオ先輩の扱いになれてきたな)

俺はそれがとても微笑ましく思えた。


prev next

bkm
top
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -