赤い雨が降っている。
まるで血みたいだ……。
そう思いながら外に向けていた視線を目の前の人に向ける。
「適合試験を始めましょう」
車イスに座っている金髪の女性、名前は確かラケルだったはず。ラケル博士はゆっくりとした口調で言った。
「適合試験?」
「ええ、もう準備は出来ているわ。この部屋の中央にある台に寝て待っていて」
それだけ言い残しどこかへいってしまった。
俺は言われた通りにするしか選択肢はなかった。
しばらくするとアナウンスが流れた。
ラケル博士の声。
「気を楽になさい。あなたは既に選ばれてここにいるのです。今からあなたには対アラガミ討伐部隊ゴッドイーターの適合試験を受けて頂きます。試験と言っても不安に思う必要はありませんよ」
(いや、不安要素しかないのですが)
俺は、心の中で思いつつ床から現れた変な機械に腕をのせる。すると、手首に何かをはめられた。
(腕輪だ……。そういえばゴッドイーターの人がつけていた……)
そう考えている間にも話は続く。
「あなたはそう、荒ぶる神に選ばれし者ですから」
小さく笑う声が聞こえた。
随分と機嫌がよさそうだ。
ぼーっとしながら話を聞いていたら上からドリルのようなものが現れた。
嫌な予感がする。
「あなたに祝福があらんことを」
その声と同時にそれは俺の固定された腕を狙って勢いよく降りてきた。
「うあああ…ッ……!」
激痛が走り耐えきれず叫ぶ。
叫んでも気は紛れやしないけれど。
台から落ちて痛みが追加された。
適合試験で命を落とす者もいるという話を聞いたことがある気がする。
じゃあこのまま死ぬ可能性もあるのか……?
記憶がごちゃごちゃと過る。
走馬灯…?
嫌だ、俺は……
ガッといつのまにか掴んでいた武器を床に突き刺し立ち上がる。
「はぁ……はぁ…」
痛みがおさまった。
「おめでとう。これであなたは神を喰らう者、ゴッドイーターになりました。そしてこれから更なる血の力に目覚めることで極致化技術開発局ブラッドに配属されることになります」
「ブラッド……?」
「ゴッドイーターを超越した選ばれし者ブラッド。来るべき神話の担ぎ手。……まずは体力の回復に努めなさい。あなたには期待していますよ」
「……」
気になることは沢山あったが、とにかく今は休みたかった。
これからやるべきことだなんて後から時間が来ればわかるはずだ。
俺はフラフラしつつ部屋から出た。