「ロミオ先輩、こっちこっちー」
「ちょっと待てよ、ナナー」
「もう皆集まってるよ!」
ぐいぐい引っ張られながら庭園に連れてこられた。
もう既に皆は来ていた。
「遅いぞ、ロミオ」
「やっと来たか」
ジュリウスとギルが言う。
「なんで今日に限って皆早いんだよ」
「だって今日はピクニックだからね!楽しみすぎて寝られなかったよ」
ナナがすごく嬉しそうに言いながら俺の手をはなし座る。
そんな嬉しそうなナナを見て、遅れたことを少し申し訳ないなと心のなかで謝る。
「庭園だからいつもと変わらなくないか?そもそもピクニックと言わない気が……」
ジュリウスの隣に偉そうに座っている副隊長が言った。
「副隊長、もうすこし空気を読もう!せっかくナナ達が用意してくれたんだからさ」
「こういうときは分かっていても言わないほうが良いんですね……。キミのおかげで勉強になりました」
「シエルちゃん……」
天然ががったシエルの発言にナナが苦笑する。
「皆集まったようだな。では、はじめようか」
「私、今日みんなで食べるために特製おでんパン作ってきたんだよ!」
「わあ…おいしそう」
「ナナのつくるおでんパンはおいしいからね!」
「ロミオ先輩、ほめたっておでんパンが追加ででてくるだけですよー!」
「あ、追加あるんだ……」
「ナナ、このおでんパンいつもと違う気がするのだが」
「あ、気付いた?隊長の言う通り、今日のおでんパンはロシアンルーレット式なの!」
「ロシアンルーレット?」
すかさずギルが聞く。
「うん。なに味がでるか分からないの!色々な味付けためしてみたんだ。一つすっごく辛いのあるから当たったら教えてね」
「辛そうなやつは追加で渡されたロミオのがそうだろうから安心して食べれるな」
「副隊長なにいって……あ、ほんとだ!?」
すごく赤いものが沢山乗っているよくわからないおでんパンが目の前にある。
これはたとえ辛くなくても食べたくないものである。
「せっかく作ってもらったんだから残さず食べろよ?」
ギルがそう言ったのと同時に
「先輩、残さず食べてくださいね!」
とナナが言う。
「鬼か!!」
皆の笑い声が庭園に響く。
この楽しい時間がいつまでも続けば幸せだな。
そう思いながら俺はナナに追加で渡されたおでんパンを一口食べた。
食べた後全力で部屋に戻ったが、残さず食べたところは評価してもらいたい。